文献詳細
文献概要
連載 医療マネジメント 21世紀への挑戦・3
戦略としての医療安全―価値共創組織を目指して
著者: 長谷川敏彦1
所属機関: 1日本医科大学 医療管理学教室
ページ範囲:P.466 - P.469
文献購入ページに移動 あれから10年あまり,日本の医療安全は本当に確立したのであろうか.
1999年に大学病院で起きた患者取り違い手術,そしてそれに続く数々の不祥事をきっかけに,メディアが次々と医療事故を取り上げ,社会問題とさえなった.それまで個々の医療者や病院に任されていた医療事故の防止は,一挙に医療界全体の課題となったのである1).厚生労働省からは新たに患者安全政策が打ち出され,2002年には制度として,全国すべての病院,有床診療所に院内医療安全体制が整備されるに至った2).
1999年に大学病院で起きた患者取り違い手術,そしてそれに続く数々の不祥事をきっかけに,メディアが次々と医療事故を取り上げ,社会問題とさえなった.それまで個々の医療者や病院に任されていた医療事故の防止は,一挙に医療界全体の課題となったのである1).厚生労働省からは新たに患者安全政策が打ち出され,2002年には制度として,全国すべての病院,有床診療所に院内医療安全体制が整備されるに至った2).
参考文献
1)長谷川敏彦:医療安全の基本概念.保健医療 51(3):108-113,2002
2)長谷川敏彦:医療安全政策の国際動向とその方向性(総論).病院 61(5):402-406,2002
3)米国医療の質委員会/医学研究所(著),医学ジャーナリスト協会(訳):人は誰でも間違える―より安全な医療システムを目指して,日本評論社,1999
4)WHO : World Alliance for Patient Safety, 2004
5)長谷川敏彦(編):医療安全管理事典,朝倉書店,2006
6)ジェームズ・リーズン(著),塩見弘(監訳):組織事故,日科技連,1999
7)長谷川敏彦(編):病院経営戦略,医学書院,2002
8)Hasegawa T, Karandagoda W(eds) : Change Management For Hospitals, Through Stepwise Approach, 5S-KAIZEN-TQM, First Edition, 2011
9)長谷川敏彦:病院崩壊からの再生―「匠と女将の世界」から「価値共創組織」へ.病院 70(4):296-299,2011
10)米国医療研究品質局(編),長谷川敏彦(監訳):医療安全ハンドブック③―より安全な医療を求めて,メヂカルフレンド社,2003
11)平成21年度厚生労働科学研究費補助金地域医療基盤開発推進研究事業「医療安全推進に必須の組織文化(安全文化)の測定および簡便な有害事象把握手法の開発と活用」報告書,2010
12)Relman AS : Assessment and accountability : the third revolution in medical care. N Engl J Med 319(18) : 1220-1222, 1988
13)米国医療の質委員会/医学研究所(著),医学ジャーナリスト協会(訳):医療の質―谷間を越えて21世紀システムへ,日本評論社,2002
14)長谷川敏彦:医療安全の基盤,信頼のコミュニケーション.医療安全 7(1):10-13,2010
15)長谷川敏彦(監修):クリティカル・パスと病院マネジメント―その理論と実際,じほう,1998
掲載誌情報