病院70巻7号

2011年07月発行

特集 地域医療再生計画を検証する

地域医療再生計画の課題

著者： 水田祥代¹²

所属機関： ¹九州大学 ²福岡歯科大学

ページ範囲：P.501 - P.505

　地域医療崩壊が社会的な問題となって久しいが，多くの自治体における懸命な努力にもかかわらず，その努力の成果は遅々として進んでいない．国は2009年度に都道府県が地域の医療課題の解決に向けて策定する「地域医療再生計画」に基づいて，医療県単位での医療機能の強化や医師等確保の取り組みに対する支援を決定した．

　その計画をみるといずれの県でも，温度差はあるものの，地域医療に従事する医療人育成のための寄付講座の設置や女性医師の働く環境整備等に加え，IT化やそれぞれの医療圏内における病院の再統合等を打ち出しており，計画としては的を射ている．しかし計画が壮大すぎるものもあり，計画倒れになる懸念も捨てきれない．筆者は地域医療再生計画の有識者会議に出席してきたが，ここでは地域の医療再生に関する私見を述べる．

参考文献

1）今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会（第1－3回議事録）　文部科学省

2）平成17，18年度厚生労働科学研究費補助金　医療技術評価総合研究事業「日本の医師需給の実証的調査研究」（主任研究者　長谷川敏彦）

3）全国医学部長・病院長会議：女性医師の勤務に際しての育児サポートの状況に関する実態調査，2007

4）川瀬和美, 他：日本外科学会女性外科医支援委員会によるアンケート結果報告（第1報）一般会員に対するアンケート結果. 日本外科学会雑誌 110（1）:37-44，2009

5）樗木晶子：九州大学病院きらめきプロジェクトのこれから，平成23年1月15日，福岡県医師会講演会

6）NIRA 研究報告書：「まちなか集積医療」の提言－医療は地域が解決する：2010