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文献詳細

雑誌文献

病院70巻7号

2011年07月発行

文献概要

連載 医療BSC基礎講座・6

BSCの基本構造と原則(その3)―戦略テーマ

著者: 髙橋淑郎12

所属機関: 1日本大学商学部 2日本医療バランスト・スコアカード研究学会

ページ範囲:P.550 - P.552

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■戦略マップ

 キャプランらが1996年以降の様々なBSC導入経験などから,戦略マップ上の「戦略テーマ」という概念を用いて,因果連鎖について一段と踏み込んだ議論を展開したこと1)は既に述べた.スコアカードの戦略目標および尺度の項目を見ただけでは,最終的に財務業績の向上にどうつながるかという因果連鎖が必ずしも明確には読み取れない.したがって,BSCの本質の1つであるにもかかわらず,スコアカードのみでは示すことが困難であった因果連鎖を,キャプランらは戦略マップによってより明確に,かつビジュアルに描き出そうとした2)

 縦の因果連鎖は財務,顧客,業務プロセス,学習と成長の4つの基本的な視点で考えるが,病院は非営利組織であるため,財務の視点を受託責任の視点などとすることも最近見られる,顧客の視点は患者あるいは地域連携医の視点と置き換えてもよい.これら4つの視点のつながりを簡単に説明しよう.

参考文献

1)Kaplan RS, Norton DP : The Strategy-Focused Organization : How Balanced Scorecard Companies Thrive in the New Business Environment, Harvard Business School Press, 2001/櫻井通晴(監訳):キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード,東洋経済新報社,2001
2)長谷川惠一,清水孝:バランスト・スコアカード経営における戦略マップの意義.企業会計 53(2):42-49,2001
3)髙橋淑郎(編著):医療バランスト・スコアカード研究―実務編,生産性出版,2011
4)Kaplan RS, Norton DP : The Strategy Maps : Converting Intangible Assets into Tangible Outcomes, Harvard Business School Press, 2004/櫻井通晴,他(監訳):戦略マップ―バランスト・スコアカードの新・戦略実行フレームワーク,ランダムハウス講談社,2005
5)Kaplan RS, Norton DP : The Execution Premium : Linking Strategy to Operations for Competitive Advantage, Harvard Business Press, 2008/櫻井通晴,伊藤和憲(監訳):バランスト・スコアカードによる戦略実行のプレミアム―競争優位のための戦略と業務活動とのリンケージ,東洋経済新報社,2009,p88
6)Porter ME, Kramer MR : The competitive advantage of corporate philanthropy. Harvard Business Review 80(12):56-68, 2002
7)Carroll AB, Buchholts AK : Business and Society : Ethics and Stakeholder Management(6th ed), South-Western, 2006
8)Kaplan RS : Alliance BSC : Managing Alliances with the Balanced Scorecard. Harvard Business Review 88(1/2):114-120,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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