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特集 人口減少の衝撃 社会・病院はどう備えるか
人口減少社会と都市・地域の長期展望
著者: 川上征雄1
所属機関: 1国土交通省国土政策局 総合計画課
ページ範囲:P.579 - P.583
文献購入ページに移動有史以来の日本列島には,延べ5億人の人々が居住してきたと推計されるが,この過程で人口は単調に増加してきたものではない.江戸時代に入って後の100年間で約1000万人から3000万人へ3倍,明治時代以降の100年間で約3000万人から1億2000万人へ4倍となる2度の人口急増期があった.そして現在は,2度目の急増期のほぼ頂点を迎えて減少局面に移行しつつあるという歴史的転換期にある.現状の傾向が今後も継続するならば,人口はこの100年の増加曲線と現在を境に,線対称の形状の減少曲線を描くと想定される(図1).すなわち40年後の2050年頃の人口を展望すると,40年前と同じ水準の1億人程度になると見込まれるのである.
しかし,当時の高齢化率は6~7%,現在が約20%であるのに対して,2050年では40%となるような人口の質には大きな相違が生じる.人口の地域分布等についても,かつてと同じものとはならないであろう.
本稿では,国土審議会政策部会長期展望委員会でこの2月に中間的にまとめられた「国土の長期展望」の推計結果1)を基に,2050年における人口減少社会とその地域的動向に着目しながら考察するものである.
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