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特集 病院と日本復興
日本の財政健全化と消費税
著者: 田近栄治1
所属機関: 1一橋大学国際・公共政策大学院
ページ範囲:P.24 - P.27
文献購入ページに移動■経済と財政の現状
ギリシャから端を発した国の債務リスクは国境を越え,アイルランド,ポルトガル,スペインと広がり,イタリアの10年国債の金利が7%近くにもなるなど,赤字財政のつけの厳しさを目の当たりにすることになった.累積した債務の原因が,社会保障のせいであろうと,バブルで負債の拡大した銀行への資金注入の結果であろうと,放漫とみなされた財政への市場の規律は容赦がない.そうしたなか,国は歳出の切り詰めと増税を迫られる.
歳出の多くが社会保障給付に充てられているため,どの国も歳出カットの筆頭は年金給付額の切り下げであり,それに医療の個人負担の増大が加わり,歳入サイドでは消費税(付加価値税)や個人所得税の増税がなされる.そうした緊縮財政に反対するアテネやマドリードやローマなどでのストライキを見ていて,怒りのこぶしをどこに向けるのだろうかという,複雑な思いを持ったのは筆者だけではなかったであろう.歳入の裏付けのないままに,歳出を拡大した責任は,政治家だけでなく,そうした政治家を選出した国民にもあるからである.
ギリシャから端を発した国の債務リスクは国境を越え,アイルランド,ポルトガル,スペインと広がり,イタリアの10年国債の金利が7%近くにもなるなど,赤字財政のつけの厳しさを目の当たりにすることになった.累積した債務の原因が,社会保障のせいであろうと,バブルで負債の拡大した銀行への資金注入の結果であろうと,放漫とみなされた財政への市場の規律は容赦がない.そうしたなか,国は歳出の切り詰めと増税を迫られる.
歳出の多くが社会保障給付に充てられているため,どの国も歳出カットの筆頭は年金給付額の切り下げであり,それに医療の個人負担の増大が加わり,歳入サイドでは消費税(付加価値税)や個人所得税の増税がなされる.そうした緊縮財政に反対するアテネやマドリードやローマなどでのストライキを見ていて,怒りのこぶしをどこに向けるのだろうかという,複雑な思いを持ったのは筆者だけではなかったであろう.歳入の裏付けのないままに,歳出を拡大した責任は,政治家だけでなく,そうした政治家を選出した国民にもあるからである.
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