文献詳細
文献概要
特集 病院における歯科
歯科医療政策と病院
著者: 野村眞弓1
所属機関: 1ヘルスケアリサーチ株式会社
ページ範囲:P.779 - P.783
文献購入ページに移動■日本の歯科医療の現状
二大歯科疾患であるう蝕と歯周病は,1970年代に口腔常在菌の感染症としてその病因・病態が明らかになり,歯科医療はそれまでの“削って詰める”治療から,感染症としての対応へとのパラダイムが転換している1).そして,やや遅れて“むし歯の洪水”の時期に新増設された歯科大学・歯学部を卒業した歯科医師が臨床の第一線に立ち始めた.人口10万人当たりの歯科医師数は,1980年の45.8人から2010年には79.3人と1.7倍に増えている.
1980年代に入ると,日本の人口構造は少子化・高齢化へと転じたことが明らかになったが,歯科医療の患者構成はそれを増幅する形で変化が生じた.早期発見・早期治療と,むし歯予防の推進により,小児う蝕患者の減少と軽症化が進んだ.一方で,長寿化と老人医療制度によって高齢者の歯科受診が増加したが,歯科診療所の患者総数は1980年の1208万人から2008年には1309万人と8.3%の増加に留まっている.
二大歯科疾患であるう蝕と歯周病は,1970年代に口腔常在菌の感染症としてその病因・病態が明らかになり,歯科医療はそれまでの“削って詰める”治療から,感染症としての対応へとのパラダイムが転換している1).そして,やや遅れて“むし歯の洪水”の時期に新増設された歯科大学・歯学部を卒業した歯科医師が臨床の第一線に立ち始めた.人口10万人当たりの歯科医師数は,1980年の45.8人から2010年には79.3人と1.7倍に増えている.
1980年代に入ると,日本の人口構造は少子化・高齢化へと転じたことが明らかになったが,歯科医療の患者構成はそれを増幅する形で変化が生じた.早期発見・早期治療と,むし歯予防の推進により,小児う蝕患者の減少と軽症化が進んだ.一方で,長寿化と老人医療制度によって高齢者の歯科受診が増加したが,歯科診療所の患者総数は1980年の1208万人から2008年には1309万人と8.3%の増加に留まっている.
参考文献
1)中垣晴男,他: 臨床家のための口腔衛生学(改訂版),永末書店,2000
2)野村眞弓,他:日本の歯科医療政策─医療経済と国際比較の視点から,勁草書房,2007
3)鳥山佳則:かつての差額徴収とはいかなるものだったのか.日本歯科評論 61(6):143-150,2001
4)Manning WG, et al : The demand for dental care : evidence from a randomized trial in health insurance. J Am Dent Assoc 110(6) : 895-902, 1985
5)伊東光晴:供給過剰時代の歯科医療─市場原理主義にまかせてよいか.日本歯科医師会:歯科医療白書,2003,pp183-188
6)医療経済研究機構:平成8年度在宅寝たきり老人の口腔ケアの実態及び支援体制に関する調査報告書,医療経済研究機構,1997
7)川南勝彦,他:在宅寝たきり高齢者の歯科保健・医療におけるディマンドへの関連要因.日本公衆衛生学会雑誌 46(1):18-28,1996
8)Yoneyama T, et al : Oral hygiene reduces respiratory infections in elderly bed-bound nursing home patients Arch Gerontol Geriatr 22(1) : 11-19, 1996
9)Sintonen H, Linnosmaa I : Economics of dental services. Culyer AJ, Newhouse JP (ed) : Handbook of health economics(vol.1B), Elsevier, 2000, pp1251-1296
10)Chen M, et al : Comparing oral health care systems : a second international collaborative study, World Health Organization, 1997
11)尾崎哲則,他:家計の消費支出からみた歯科医療費の長期的な動向の分析.医療経済研究 8:5-22,2000
12)野村眞弓:歯科医療需要の特性と社会保険制度.前掲書2),pp15-26,p143
掲載誌情報