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特集 病院における歯科
わが国における病院歯科の現況
著者: 阪口英夫1
所属機関: 1医療法人尚寿会 大生病院 歯科口腔外科
ページ範囲:P.785 - P.789
文献購入ページに移動 医科と歯科は同じ医療分野であるにもかかわらず,その教育体系が医学部と歯学部に分かれていることにより,一般的にも違った分野として捉えられている.医師や看護師は医科疾患の治療のためにあり,歯科医師や歯科衛生士は歯科疾患の治療のためにあるという考え方である.しかし,歯や口腔は,同じ身体に存在する器官であり,医科疾患においてもその回復や治療に重要な役割を示すことが知られてきている.特に高齢社会を迎えたわが国における多くの研究は,口腔機能維持や口腔ケアが健康寿命の伸展を促すだけでなく,医科疾患の合併症予防にも効果があることを示してきた.これらの報告を基に,口腔機能や歯科の活動について興味を示す医師や看護師が増えている.
一方,歯科医療サービスを担う歯科医師や歯科衛生士の多く(90%以上)は,医科との接点がほとんどない一般歯科診療所に従事している.そのため,歯学部では一般歯科診療所における歯科医療を中心に据えたカリキュラムによって教育が行われ,医科歯科協働について教える機会はあまりなかったというのが今までの状況である.しかし,高齢社会を迎え,歯科医療サービスの提供対象は確実に広がってきており,要介護高齢者を含む障害者であっても,一般歯科診療所の対象となる時代がやってきたことを背景に,歯学部教育も医科歯科連携を見据えた教育方針に転換を始めている.
一方,歯科医療サービスを担う歯科医師や歯科衛生士の多く(90%以上)は,医科との接点がほとんどない一般歯科診療所に従事している.そのため,歯学部では一般歯科診療所における歯科医療を中心に据えたカリキュラムによって教育が行われ,医科歯科協働について教える機会はあまりなかったというのが今までの状況である.しかし,高齢社会を迎え,歯科医療サービスの提供対象は確実に広がってきており,要介護高齢者を含む障害者であっても,一般歯科診療所の対象となる時代がやってきたことを背景に,歯学部教育も医科歯科連携を見据えた教育方針に転換を始めている.
参考文献
1)黒川英雄,他:病院歯科口腔外科における周術期口腔ケアの有用性に関する研究.日本口腔ケア学会雑誌 6(1):5-11,2012.
2)Yoneyama T, et al : Oral care and pneumonia. Lancet 354(9177):515,1999
3)大臣官房統計情報部 人口動態・保険統計課保険統計室:平成22年(2010)医療施設(動態)調査・病院報告,2012 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/10/
4)田中義弘:病院歯科からの緊急提言.Dental Review 70(12):147-152,2010
5)江面晃:病態別要介護者口腔保健医療ケアにかかる工程表(クリティカルパス)の開発のための効果的な病身連携方策.厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)分担研究報告書,2004,pp70-72
6)阪口英夫,他:療養病床における歯科併設状況と口腔ケア・摂食えん下リハビリテーションの実態.老年歯科医学 19(4):313-318,2005
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