文献詳細
文献概要
--------------------
書評 人生を生きるとはどういうことかと考える機会に―岡西 雅子(著)『生きることは尊いこと いのちをみつめた闘病と介護の日々』 フリーアクセス
著者: 島尾忠男1
所属機関: 1結核予防会
ページ範囲:P.827 - P.827
文献購入ページに移動慢性疾患に罹患することは,人間を,そして人生を深く考える良い機会となる.一昔前の結核の療養はその典型的な一例であり,若者に多かった結核患者が,生命の危険に曝されながら,人生について,人間について考える中から,多くの優れた文芸作品や芸術が生まれた.膠原病も難治の慢性疾患であり,免疫学の研究がこれほど進んできても,自身に対する過剰な反応を制御する方法は,十分には解明されていない.ステロイドは過剰反応を抑える有力な手段であるが,副作用が避けられない.ほとんど動けない状態で2回も長期間入院された雅子さんが,ご自分で歩くことができ,父上の介護もある程度可能になるまでに回復された背景には,強い意志でつらいリハビリに取り組んだ努力があった.これらの経験を読むことによって,同じ病に悩む者が大いに勇気づけられるであろう.
掲載誌情報