文献詳細
文献概要
連載 リレーエッセイ 医療の現場から
生きる意味を求めて―スイスにおける自殺幇助の実態
著者: 松永優子1
所属機関: 1財団法人聖マリアンナ会 東横惠愛病院
ページ範囲:P.1019 - P.1019
文献購入ページに移動「自殺幇助」という言葉は,Jさんの死を知る前の私と同様,多くの日本人にとって,馴染みのない言葉だと思う.「自殺」と言う以上,直接死を招く行為を遂行するのは当事者であって,それを幇助するとは,自殺のための道具や場所,知識を提供することを指す.これは,日本では自殺幇助罪に当たる行為であるが,スイスでは必ずしも違法ではない.「利己的な動機から人に自殺を教唆するか,その自殺を幇助した者は,自殺既遂,未遂によらず,5年以下の禁固刑か,罰金に処す」というスイス刑法第115条が,すなわち「利己的な動機がなければ,罪にならない」と解釈されうるからである.
掲載誌情報