icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

病院71巻4号

2012年04月発行

雑誌目次

特集 患者の医療情報探索

巻頭言

著者: 井伊雅子

ページ範囲:P.261 - P.261

 本来,医療とは患者と医療者の「協働」作業である.しかし,医療に関して日本では「知らしむべからず,由らしむべし」の伝統が生きており,「良い患者」とは医師の言うことをよく聞く従順な患者とされてきた.また,医療をとりまく制度やサービスについて患者が体系的に学ぶ機会が日本では少なく,いざ病気になって口コミやインターネット,雑誌を頼りに情報収集しているのが現状である.この10年くらいで,患者はとてもよく勉強するようになったが,情報の質も様々なうえ,たくさん情報を持っていても混乱し,苦悩している人もいる.本特集では,医療を患者と医療者の「協働」作業として捉え,現在様々な形で行われている市民の医療情報探索行動の支援のあり方を探った.

 日本の医療制度改革は,病院改革を中心に,特に急性期病床の在院日数の短縮を進めてきた.患者情報に関しても,がん,心血管系疾患といった急性期の医療情報が比較的充実していると言えよう.しかし,われわれの日常に起こる医療や健康問題の8割はプライマリ・ケアの分野である.良好なコミュニケーションで医師-患者関係を築き,患者に寄り添い,責任を持って医療情報を提供してくれるプライマリ・ケアの専門家,いわゆるGP(General Practitioner,家庭医)の制度が日本には存在しない.これが患者満足度の低い理由の1つであろう.

患者の医療情報探索をどう支援するか

著者: 郡司篤晃

ページ範囲:P.262 - P.266

 WHO(世界保健機構)の評価によれば,日本の医療制度は総合評価で世界第一位ときわめて高い1).また,国民の受診頻度は,欧米諸国のほぼ2倍以上である.しかし,一方で国民による自国の医療制度に対する評価結果を見ると,ヨーロッパ諸国に比べて,日本の評価はきわめて低い.2010年の報道によれば,国民の自国の医療制度に対する満足度は,スウェーデンで75%,カナダで70%,英国では55%が「満足」と回答したのに対して,日本は15%で,先進22か国で最低であった2).専門家から見た医療制度は世界一,医療の利用頻度も世界一なのに,国民はきわめて不満なのはなぜだろうか? このギャップについての分析はまだ行われていない.

 現在,わが国では健康に関する情報が氾濫している.しかし,いざという時になって,どこに行ったらよいのか,誰に相談したらよいのか,必要な情報がきわめて乏しいことに気づく.人々は不安なのではないだろうか? 不思議なことだが,人はケアが必要になった時の準備をあらかじめすることができないらしい.

メディアは医療情報をどう収集・発信するか

著者: 前村聡

ページ範囲:P.267 - P.271

 「どの病院で治療を受けるのがいいでしょうか」.医療担当の記者をしていて読者から多く寄せられる質問だ.インターネットの普及により,10年余りで患者や家族が入手できる医療情報は飛躍的に増えたものの,氾濫する情報に困惑する人が多いのも事実だ.私たちメディアは新聞や放送,そしてインターネットというそれぞれの媒体の特徴を生かして,患者や家族が必要な情報を選び,わかりやすく伝える役割がますます求められている.

 では,私たちメディアは医療情報をどう収集して,どう発信しているのだろうか.私を含めて新聞やテレビなど大手メディアで医療を担当している記者のほとんどは,医師,看護師,薬剤師など医療の有資格者ではない.有資格者の記者もわずかにいるものの,臨床経験がないことが多く,臨床経験があったとしてもテレビやマンガで登場する“スーパードクター”のようにあらゆる疾患の最新情報に精通しているわけではない.一方,患者経験があったり,家族や友人などが患者だったりする記者は少なくない.だが体系的な医学知識はなく,特定の疾患に知識は偏りがちだ.さらに,有資格者や患者,その家族の記者であったとしても,2年に1度大幅に改定される診療報酬など,変化を続ける複雑な日本の医療制度の仕組みに詳しい人は少ないのが現状だ.

【インタビュー】患者視点からの情報探索

著者: 岸本葉子 ,   井伊雅子

ページ範囲:P.272 - P.276

井伊 岸本さんのエッセイは以前から拝見しています.患者さんによる闘病記はたくさんありますが,感情的でなく非常に冷静に,客観的に病気のこと,ご自身のことを分析されていて,素晴らしいと思っていました.今日は患者視点からの情報探索というテーマで,お話をお聴きしたいと思います.

岸本 ありがとうございます.ではまず,病気を中心に自己紹介を.

患者の求める情報をどう体系化するか

著者: 山口育子

ページ範囲:P.277 - P.280

■「情報さえあれば」と抱いた大きな期待

 「賢い患者になりましょう」を合言葉に,自立し主体的に医療参加ができる成熟した患者を目指したい.そして患者と医療者のより良いコミュニケーションを確立しよう.そのようなことを目標に,NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(以下,COML)は1990年から活動してきました.活動は22年目となり,日常の活動の柱として耳を傾けてきた電話相談も5万件を超えています.医療不信がピークを迎えた1999~2004年に比べれば電話相談の件数は半減していますが,それでも全国各地から相談が届き,ここ10数年は少数とはいえ,医療者からの相談も届くようになってきました.

 20数年にわたる医療や患者の意識の変遷を振り返ると,“医療情報”にまつわる問題についても大きく変化を遂げてきたと感じています.COMLが活動を始めた1990年当時,患者・家族にとって医療に関する情報は少なく,入手する手段も非常に限られていました.医療情報のほとんどは医師をはじめとする医療者が握り,伝えて支障がない内容や範囲だけを患者側(重い病気ほどまずは家族)に説明するのが一般的でした.

正しい医療情報の読み解き方―「メディアドクター」の取り組み

著者: 渡邊清高

ページ範囲:P.281 - P.284

 医療や健康に関する話題への関心は日々高まっており,私たちは新聞,雑誌,テレビ,インターネットなどを通して日常的に医療情報と接している.病院の待合室にも置かれる雑誌や新聞,家族や友人を介したいわゆる口コミでのネットワークなど,受け手である患者・家族や市民の意思決定に少なからず影響を与える医療情報.その内容は正しく報じられ,適切に伝えられているだろうか.また一方で,研究者や医療従事者は,情報源としてメディアに的確な情報を発信しているだろうか.

 本稿ではがんに関する様々な情報を患者,家族,専門家向けに提供する取り組みを紹介しつつ,情報の信頼性を担保するための仕組みづくりと,専門家と記者が対話と議論を重ねる中から相互理解を深めていく「メディアドクター」の試みについて紹介したい.

英国家庭医から見た患者中心の医療

著者: 澤憲明

ページ範囲:P.286 - P.289

 医療が日々進化する現在,医療サービスにおける患者の要求水準は年を追うごとに高くなっている.需要者である患者のニーズが多様化・高度化する中で,患者が主体的に自分自身の医療にどう関わるのか,そして満足度の高い医療を国はどう構築し,どう実現していくのか.これは日本だけではなく,国際的に見ても重要なテーマだ.

 本稿では,日本から遠く離れた英国での取り組みを紹介したい.近年における英国の国営医療サービス(National Health Service,以下,NHS)の歩みには目を見張るものがある.1990年代のサッチャー政権下,長い待機時間,院内感染,医師不足,患者の低い満足度などの問題を抱え,英国人の誇りであるNHSが崩壊の危機にあったことは,まだ記憶に新しい.しかし2000年以降,“NHSを救う”とブレア政権下で実行された大胆な改革によって多くの問題点が改善され,現在,英国の医療は驚くほどの進歩を遂げている.

―【事例:患者図書室】―昭和大学病院「健康の森」

著者: 杉本千晶 ,   村上雅彦

ページ範囲:P.290 - P.293

 昭和大学病院は,「至誠一貫」(まごころを尽くす)の建学精神に基づいて設立された,医系総合大学である昭和大学(東京都品川区旗の台)の附属病院として,昭和3(1928)年5月に開院した.現在では,中央棟と入院棟の2棟合計24病棟815床の病床を有し,病院の理念(患者本位の医療・高度医療の推進・医療人の育成)の下,特定機能病院としての役割を担っている.

―【事例:患者図書室】―浜松赤十字病院「患者図書室-みんなの医療情報AからZまで-」

著者: 飯田育子

ページ範囲:P.294 - P.296

 浜松赤十字病院は,浜松市にある地域に密着した中規模病院である.2007年に市の中心部から郊外に新築移転し,新病院では患者図書室を常設して患者や地域住民に公開している.当院では患者図書室の活動を旧病院の1999年から続けており,本稿ではその開設と活動の経緯,現在の状況,今後の課題について報告する.

―【事例:患者図書室】―国立病院機構関門医療センター「健康応援図書館」

著者: 佐栁進 ,   高田智子 ,   櫻井優子

ページ範囲:P.298 - P.301

■患者向け図書サービスの歩み

 今日,医療の対象は生活習慣が大なり小なり関わる疾病群が大半を占めている.その克服には患者自ら疾病の自己管理や重症化の防止に努めることが最も効果的であり,必要な医学・医療についての正しい知識を持つことが求められている.

 関門医療センターにおける患者向け図書サービスは,2004年1月に病院ボランティアが一般図書を提供する「ひまわり文庫」を開設したことに始まった.このボランティア活動は大変に好評を博し,患者には入院期間中に読書に対する強い関心があることがわかった.これを踏まえて2007年6月に,当センターは病気や医療等に関する一般向けのわかりやすい図書(以下,健康図書)250冊を揃えて「健康図書室」を開設し,入院期間中を利用した患者教育のモデル的試行を始めた.

グラフ

ICTが創る遠隔医療―信州大学医学部附属病院 総合遠隔診療室

ページ範囲:P.249 - P.252

 信州大学医学部附属病院(以下,信州大学病院)で遠隔診療の試みが始まったのは1990年頃.CTやMRIの爆発的な普及に対し,画像診断の経験を十分積んだ医師はまだ少なく,信州大学病院には周辺の病院からしばしば読影依頼が郵送されていた.しかし,中には緊急性の高いケースもある.そこで迅速に画像をやり取りできるよう,信州大学のキャンパス間を結ぶ無線ネットワーク「SUNS」を用いて,長野赤十字病院とつないだのがきっかけだ.

 それから約20年,ITと情報通信のインフラ整備は目覚しい速度で発展を遂げ,スマートフォンに代表される高性能な情報端末を誰もが携帯する時代となった.ICT(Information and Com-munication Technology:情報通信技術)で,医療はどう変わるのか.同病院の取り組みを紹介したい.

連載 病院が変わるアフリカの今・4

アフリカ諸国のお手本になった病院

著者: 石島久裕

ページ範囲:P.254 - P.255

タンザニア連合共和国って?

 インド洋に面したアフリカの東部,アフリカ大陸最高峰であるキリマンジャロを有し,サファリツアーも盛んなタンザニアは,「タンガニーカ」(大陸部)と「ザンジバル」(島)の2つの国から構成される連合共和国であり,日本の約2.5倍の広さを持つ国土に21州,133県の行政区分がある.州レベルでは保健福祉省の出先機関として州保健局が設置され,県レベルでは県行政府の下,県保健局が設置されている.タンザニア全体では,公的病院として4つの国立総合病院,4つの国立専門病院,21の州病院,95の県病院があり,この他に民間病院や宗教系病院,軍病院など,計256病院が存在する.そしてこれら病院の下に,公立・私立を合わせて481の保健センター,4679の診療所がある.

医療管理会計学入門・1【新連載】

医療界における管理会計の全体像と必要性の高まり

著者: 荒井耕

ページ範囲:P.308 - P.311

■医療管理会計の全体像

 管理会計とは,医療制度など経営環境が変化する中で,その変化に適切に対応しつつ, 質が高く効率的な医療を提供し続けるための経営管理の仕組みである.採算(財務)面の業績を管理するだけでなく,患者満足度や質・安全性・在院日数・従業員能力向上などに関わる業績も同時に管理する.医療機関(病院や多角化法人)が費用対成果の高い医療サービスを継続的に提供するために,特に経営管理者層にとっては不可欠な,経営管理の仕組みである.

 こうした管理会計の仕組みには多様なものがあり,対応しているマネジメント領域も異なる.管理会計には,戦略遂行マネジメント,責任センター(部門)マネジメント,提供プロセス(サービス)マネジメント,経営情報マネジメントの各領域に対応するための各種手法および活動が含まれている(図).そして,これら各種の仕組みが有効に機能するためには,互いに有機的な関連づけがされていなければならない.

ドラスティックな病院改革!~事務長の孤軍奮闘日誌~・1【新連載】

組織改造作戦!在宅福祉部の結成

著者: 妹尾朝子

ページ範囲:P.312 - P.314

■はじめに・・・

 昨年,私が第53回全日本病院学会で発表した一般演題「大変だ!こんなこともできてない」は,思いのほか反響を呼んだ.こんな自虐ネタ(本当は隠したいダメな病院の経営実態)を公表してよいものかどうか・・・・・・,自分の発表順が来る直前まで「やっぱりやめようか」と真剣に思い悩んでいた.しかし,「そういう「ホントの裏話」こそ,人が興味のあることなんだよ.君,ぜひ発表してみてよ」とそそのかしたのはそもそも理事長なのだ.こんな発表でも,同じような悩みを持つ他の病院に役立つかもしれない,などと勝手に良い方向に考え,恥をかいてみることにした.

 私は2008年に光生病院へ入職して以来,ずっと病院の業務改善に明け暮れているが,今思えば当時の病院内に「改革しないとダメなんじゃないか」という意識はまるでなかったし,行動を起こす勇気のある人もいなかった.古い体制が当たり前で,そこに安住していた老臣たちから見れば,私はInformation Technologyというよくわからない新兵器を振りかざし,居心地よい環境を破壊するとんでもない宇宙人に見えたことだろう.「他の新入りと同じように,いじめて追い出してやろう」と思っていたかもしれないが,ところがどっこい,私は結構手ごわい新種の宇宙人だったのである.

医療ソーシャルワーカーの働きを検証する・68

退院支援におけるMSWと看護師の共通点と相違点―退院支援の専門性の明確化に向けて

著者: 加藤由美

ページ範囲:P.316 - P.321

 退院支援に関する実態調査の結果に基づき,退院支援上の留意点,および退院支援を構成する業務内容の切り口から,退院支援におけるMSWと看護師の共通点と相違点を提示する.

共通点:

●退院支援の主な基本姿勢:患者側の不安軽減,および退院の納得.

●日常的に行っていること:患者側の意向を確認,および院内関係者との協議検討.

●各種アセスメントに基づくニーズ明確化.

●退院支援で困難を感じる点は個別的で多岐にわたる.

相違点:

●MSWは看護師に比べて多様な視点に基づいて退院支援を行っている可能性がある.

●職種の専門性と直結している業務は,実施状況,重視度ともに高い.

 MSWと看護師が互いの共通点と相違点を理解することは,協働を効果的・効率的に進めるうえで不可欠である.さらに今後は,職種レベルを超えた退院支援スペシャリストの養成にむけて,退院支援の専門性を明確化することが求められる.その際に,MSWと看護師の共通点と相違点は重要な検討材料となる.

鉄郎おじさんの町から病院や医療を見つめたら…・55

“非がん”難民!―多死化時代への備え

著者: 鉄郎

ページ範囲:P.322 - P.323

非がん難民

 右図をご覧いただきたい.全死亡数のうち約3割ががん(悪性新生物)だが,残りの7割から事故死,自死,老衰などを除いた非がんによる死亡数は,がんによる死亡数を上回る.ところが,日本の緩和ケア病棟が対象としているのはがんとエイズ.一昔前は3人に1人ががんを羅患すると言われたが,最近では2人に1人が羅患し,3人に1人ががんで亡くなる.

 本来,緩和ケア・ホスピスケアというのはすべての患者に対して開かれているものであるはず.それにもかかわらず,日本では非がん患者は未だケアの対象とされていない.しかし,ホスピス運動の創始者であるシシリー・ソンダースは神経難病の専門医であり,彼女が開設したセント・クリストファー・ホスピスは,当初から神経難病患者のケアを行っていた.

アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第207回

米国東海岸に見る長寿命病院建築

著者: 河口豊

ページ範囲:P.325 - P.332

 日本医療福祉建築協会(JIHa)では,隔年に海外医療福祉建築研修として視察団を派遣している.昨年(2011年)は米国の東海岸都市の病院を中心に病院建築の長寿命化をテーマとして9月17日から28日まで視察を行った.訪問した施設は表の通りであり,以下,本稿上での略称と所在地を記した.本稿では,長寿命化に関わる増築と改修とともに,病棟,病室,高度医療,グリーンハウスモデルなど新しい動向について報告する.

リレーエッセイ 医療の現場から

テレビドラマの医療監修―虚構と現実のはざまで

著者: 長谷川剛

ページ範囲:P.335 - P.335

 先般,テレビ朝日の『DOCTORS-最強の名医』というドラマの医療監修に関わった.俳優の沢村一樹さん,高嶋政伸さん,かつての大アイドルである元キャンディーズの伊藤蘭さんら大物芸能人に会えただけでも稀有な体験だったが,同時にドラマの裏側を垣間見ることができた.そこで考えたことを少し書きたい.

 ちなみに伊藤蘭さんの手を握って診察の演技指導したことを自慢げに若い医師に話したところ「伊藤蘭って,誰ですか?」と言われてしまい,ずっこけた.「かつてのキャンディーズは,今のAKB48みたいなもんだ……」と説明するのがやっとであった.そういう時代(年齢!)である.

レポート【投稿】

資料に見る病院機能評価の課題

著者: 大野博

ページ範囲:P.303 - P.306

要 旨 病院機能評価事業が開始されて十数年が経過したが,近年,これを受審する病院数の伸び悩みが見られる.筆者は,その要因を探るため,日本医療機能評価機構によって公表された資料に依拠して,実際に受審した病院の感想,評価・判定の傾向等を検討した.その結果,現在の病院機能評価が,病院機能の中心である患者へのケアの改善への影響を,十分には与えていないこと等を考察した.

 ここから,筆者が提案する今後の方向は,更新受審病院については,評価項目を医療の質の継続的改善にシフトすること,現在の評価項目は新規受審病院を中心に運用することなどである.

--------------------

書評 本書が,多くの医学生,若い医師の人生の指針となることを期待する―尾身 茂(著)『WHOをゆく 感染症との闘いを超えて』

著者: 高久史麿

ページ範囲:P.302 - P.302

 著者の尾身茂教授は,私が勤務している自治医科大学の1期生である.新設の医科大学の1期生には開拓精神の旺盛な元気な学生が多かったが,自治医科大学の1期生も例外ではなかった.自治医科大学の場合,卒業生は各県に戻り,離島・へき地の医療に従事するという,世界に例を見ない新しい試みであったから,特に威勢の良い1期生が多かったと思う.

 私は開学時から10年間教授として学生を教えたので,多くの1期生のことを憶えているが,尾身教授についてはご本人には失礼であるが,あまり記憶に残っていない.恐らく尾身教授が学外活動にもっぱらエネルギーを注いで,私の授業やゼミにあまり顔を出されなかったからであろう.

投稿規定

ページ範囲:P.333 - P.334

次号予告/告知板/表紙解説

ページ範囲:P.336 - P.336

1972年,神奈川県生まれ.自閉症障害を伴う精神遅滞およびてんかん,両感音難聴と診断される.神奈川県立平塚聾学校を卒業し,同県の通所授産所に通所後,秋田県へ.1995年より社会福祉法人一羊会 杉の木園に転入し,お菓子作りや絵画の才能を発揮している.きょうされん(旧称:共同作業所全国連絡会)が毎年開催している「きょうされんグッズデザインコンクール」では動物や風景の絵を描き,数多く入賞している.

〈4月号解説〉

私たちが想像する「桜」を遥かに超えるような作品である.日の光を浴びて輝いているのか,黄金色に光る桜がダイナミックに描かれている.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?