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特集 病院のセキュリティ
院内暴力等への安全対策
著者: 小室克夫1
所属機関: 1聖路加国際病院施設課
ページ範囲:P.527 - P.531
文献購入ページに移動 近年わが国の病院において,職員・患者が暴力被害を受ける事件が相次いで発生し,患者・家族,職員の生命・健康に危害が及ぶリスクが高まっている.
これまで病院の安全管理対策としては,警備員配置や監視カメラ設置などの限定された対応策が多く,院内で発生する暴力等について,必ずしも組織全体で取り組む姿勢が見られず,運営上の課題として位置づけられているとは言い難い.2007年の全日本病院協会による院内暴力に関する実態調査1)によれば,組織的な取り組みをしている病院は約2割,また院内報告体制について今後も取り組む予定がないと答えた病院は,約4割に上った.
これまで病院の安全管理対策としては,警備員配置や監視カメラ設置などの限定された対応策が多く,院内で発生する暴力等について,必ずしも組織全体で取り組む姿勢が見られず,運営上の課題として位置づけられているとは言い難い.2007年の全日本病院協会による院内暴力に関する実態調査1)によれば,組織的な取り組みをしている病院は約2割,また院内報告体制について今後も取り組む予定がないと答えた病院は,約4割に上った.
参考文献
1)全日本病院協会「院内暴力など院内リスク管理体制に関する医療機関実態調査」,調査期間は2007年12月20日~2008年1月31日,調査対象は全日本病院協会全会員病院2248病院,回答は1106病院,回収率49.2%. www.ajha.or.jp/voice/pdf/other/080422.pdf
2)愛知県勤務医部会「暴言・暴力(いわゆるクレーマー)およびセクシャルハラスメントに関する実態調査」,調査期間は2008年2月25日~5月31日,調査対象は愛知県下340病院,回答は184病院,回収率54.1%.
3)愛知県医師会(編):暴言・暴力・セクシャルハラスメント対処法,メジカルビュー社,2009,pp20-29
4)中野八重美:インシデントレポートを活用した暴力・クレームの情報収集と当事者ケア.医療安全 14:27,2007
5)武田朗:ロールプレイング研修による職員の“気づき”がセキュリティを高める.新医療 418:156,2009
6)山田佐登美:岡山大学病院の院内暴力防止への組織的取り組み.労働の科学 63(3):22,2008
7)箕輪良行(編):救急ケア最前線 知っておくべき救急初期対応.JJNスペシャル 81:99,2008
8)佐々木美奈子:米国における患者暴力の実態と対応.医療安全 14:22-23,2007
9)和田耕治:諸外国での対策と国内の今後の課題.労働の科学 63(3):14-15,2008
10)日本看護協会:保健医療福祉施設における暴力対策指針─看護者のために─,2006 http://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/bouryokusisin.pdf
11)佐藤太郎,他:医療施設における犯罪─傾向と対策─.病院設備 50(3):254-259,2008
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