文献詳細
文献概要
特集 高齢先進国のビジョン
健康医療福祉都市構想
著者: 酒向正春12
所属機関: 1世田谷記念病院 2回復期リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.697 - P.701
文献購入ページに移動■はじめに─健康医療福祉都市構想がなぜ必要か
世界に先駆けて,未曾有の超高齢社会となった日本では,「病気は治るもの」という神話が壊れた.高齢者の病気は治らず,慢性化する.脳卒中後遺症の片麻痺,感覚障害,言語障害,高次脳機能障害も治らない.超高齢化社会では,病気や障害とつき合いながら生活することが前提となる.しかし,これまでの日本社会では,高齢者や障害者は外出しない「閉じこもり生活」を選択する暗黙の了解があった.2030年には3人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢化社会が到来する.従来型の閉じこもり生活は廃用症候群を生み,病気や障害を増悪させる.すなわち,超高齢化社会では,高齢者や障害者の残存能力を活かし,活用する社会体制に再構築することが必要となる.
そこで,高齢者や障害者を含めた全ての人に優しく,安全に安心して外出できるユニバーサル都市環境の整備が必須となる.それが健康医療福祉都市構想のルーツである.日本の都市整備や道路環境の政策は効率性と生産性を重視するあまり,高齢者や障害者の生活性を無視した環境整備を行ってきた.その政策を根本的に改め,生活に優しい都市環境と社会体制を実現し,超高齢化社会のモデルを発信することで世界貢献ができる時が到来した.
世界に先駆けて,未曾有の超高齢社会となった日本では,「病気は治るもの」という神話が壊れた.高齢者の病気は治らず,慢性化する.脳卒中後遺症の片麻痺,感覚障害,言語障害,高次脳機能障害も治らない.超高齢化社会では,病気や障害とつき合いながら生活することが前提となる.しかし,これまでの日本社会では,高齢者や障害者は外出しない「閉じこもり生活」を選択する暗黙の了解があった.2030年には3人に1人が65歳以上の高齢者となる超高齢化社会が到来する.従来型の閉じこもり生活は廃用症候群を生み,病気や障害を増悪させる.すなわち,超高齢化社会では,高齢者や障害者の残存能力を活かし,活用する社会体制に再構築することが必要となる.
そこで,高齢者や障害者を含めた全ての人に優しく,安全に安心して外出できるユニバーサル都市環境の整備が必須となる.それが健康医療福祉都市構想のルーツである.日本の都市整備や道路環境の政策は効率性と生産性を重視するあまり,高齢者や障害者の生活性を無視した環境整備を行ってきた.その政策を根本的に改め,生活に優しい都市環境と社会体制を実現し,超高齢化社会のモデルを発信することで世界貢献ができる時が到来した.
参考文献
1)酒向正春:脳神経外科治療のスタンダード 12. 脳卒中後遺症.脳神経外科 37(11): 1129-1141,2009
2)酒向正春,他:急性期脳梗塞の実態:病型別,重症度別,年代別,性別にみたリハビリテーション開始時期と予後,脳卒中データバンク2009,中山書店,2009,pp124-125
3)酒向正春:正しいリハビリさえおこなえば,脳卒中による寝たきりは防げる,日本の論点2009,文藝春秋社,pp500-503
4)酒向正春:脳卒中後リハビリテーションの意義と現状.Pharma Medica 30(2):55-59, 2012
5)酒向正春:脳卒中医療と健康医療福祉都市構想.財務省広報誌ファイナンス,通巻534号: 53-55,2010
6)澤憲明:これからの日本の医療制度と家庭医療.社会保険旬報 No 2491 :22-30, 2012
7)酒向正春:老人医療費の削減につながる環境─それはリハビリと社会参加の充実だ,日本の論点2010,文藝春秋社,pp536-539
8)酒向正春:超高齢化社会のための健康医療福祉都市構想,新都市 64(7):18-20,2010
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