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研究と報告【投稿】
手術実施度および平均在院日数と採算性との相関関係―国立DPC関連病院群での検証
著者: 荒井耕1
所属機関: 1一橋大学大学院 商学研究科
ページ範囲:P.730 - P.733
文献購入ページに移動要 旨 本研究では国立病院機構傘下のDPC関連病院を対象として,DPC影響評価報告と国立病院機構公表の財務諸表の2資料から,手術実施度や平均在院日数の,採算性との相関関係について実証的研究を試みた.その結果,国立病院傘下のDPC関連病院の現状では,手術実施度は採算性と無関係のようである.その背景の1つには,手術の中には採算性が悪く,赤字のものもかなりあるという実態が考えられる.一方,平均在院日数(疾患構成の違いを補正後)の短縮による効率性の向上は,国立DPC関連病院では,新たな患者の十分な増加を伴い,採算性の向上に繋がっていると考えられる.さらに今回の研究結果からは,指標補正の重要性も示唆された.
参考文献
1)衣笠陽子:医療機関の赤字経営とその意味.管理会計学 15(2):93-108,2007
2)下村欣也,久保亮一:病院経営におけるコスト構造の定量分析.日本医療・病院管理学会誌 48(3): 5-12,2011
3)中川義章,他:人件費をベースとした新たな病院経営指標を用いた国立病院機構における5年間の分析.日本医療マネジメント学会雑誌 11(1):15-23,2010
4)荒井耕:医療サービス価値企画─診療プロトコル開発による費用対成果の追求,中央経済社,2011
5)厚生労働省:DPC導入の影響評価に関する調査 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/sinryo/dpc.html
6)国立病院機構:平成22年度(第7期事業年度)財務諸表等 http://www.hosp.go.jp/12,10109,74.html
7)荒井耕:手術領域における原価・価格関係の実証分析.原価計算研究 32(1):64-74,2008
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