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文献詳細

雑誌文献

病院72巻1号

2013年01月発行

文献概要

連載 医療管理会計学入門・10

原価計算の基礎と医療界での意義―経営情報マネジメントとしての管理会計①

著者: 荒井耕1

所属機関: 1一橋大学大学院商学研究科

ページ範囲:P.67 - P.71

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■原価計算の意義

 原価計算とは,特定の対象に対して収益および原価を集計し,その財務情報を各種目的のために活用する管理手法である.伝統的な慣用表現として「原価計算」と呼ばれているが,収益と原価の対応計算であり,損益計算である.また,単に計算対象に収益や原価を集計するだけでなく,その結果として算出された計算対象別の収益・費用・利益(財務情報)を,意思決定や業績管理などに活用することも当然含んでいる.日本の病院では活用されないままになっている場合もあるが,精度の悪さや現場の反発などから活用できないだけであり,当初から計算だけを目的として実施されているわけではない.

 計算対象としては,病院内の各部門注1)や多角化法人における各施設事業などの責任センター,さらにDPCやクリティカルパス,患者,部門内サービス(各種検査など)といったような,多様な次元のサービスが想定される.どのような責任センターやサービスが計算対象となるかは業種や当該組織の必要性などにより異なるが,基本的にこの2種類に分類できる.責任センター別の財務情報は予算管理などの責任センターマネジメントで活用される一方,サービス別の財務情報はサービス価値企画などのサービス提供プロセスのマネジメントで活用される.

参考文献

1)荒井耕:医療原価計算,中央経済社,2007
2)荒井耕:病院原価計算,中央経済社,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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