文献詳細
特集 診療支援業務の新潮流
文献概要
医師事務作業補助体制加算が設けられて,3回目の診療報酬改定を迎えようとしている.この6年間,現場の医師や実務者による粉骨砕身によって,少しずつ医師事務作業補助者の形が作られてきた.筆者は,2010年に「医師事務作業補助者の発展段階」を予想した.同職種は加算ができる前から存在していたので,その頃からの人材活用を「第0世代」と呼んだ.そして,加算が設けられ診断書など医療文書の作成から手をつけた時期を「第1世代」,電子カルテの代行入力などに手を広げた時期を「第2世代」,そして実務者が自らPDCAサイクルを回し能動的に業務を広げる「第3世代」がこの2012年から2013年の時期であると考えていた1).実際,ほぼそのような展開になっている.
かくして成長してきた医師事務作業補助者ではあるが,未だ検討すべき課題は多い.医師事務作業補助者の設置根拠はいまだ診療報酬という永続性を保証されないスキームに過ぎず,その業務内容もかなり流動的なものである.そして,同職種が活躍するためには相当の医学知識が必要でありながら,その教育要件は6か月のOJTと,そこに含まれる32時間のOff-JTという極めて少ないものだ.結果,病棟回診などをサポートできる専門人材も増えてきたが,他方では「第1世代」が続いている病院も少なくない.そして,実務者からは「他の職種の業務を手伝わされているのでは」という疑問も,少なからず仄聞する.このような課題は山積しているが,それでもインセンティブとして妥当な時期が過ぎれば,今は重点評価されている医師事務作業補助加算の位置づけも,どこかで転機を迎えざるを得ない.
かくして成長してきた医師事務作業補助者ではあるが,未だ検討すべき課題は多い.医師事務作業補助者の設置根拠はいまだ診療報酬という永続性を保証されないスキームに過ぎず,その業務内容もかなり流動的なものである.そして,同職種が活躍するためには相当の医学知識が必要でありながら,その教育要件は6か月のOJTと,そこに含まれる32時間のOff-JTという極めて少ないものだ.結果,病棟回診などをサポートできる専門人材も増えてきたが,他方では「第1世代」が続いている病院も少なくない.そして,実務者からは「他の職種の業務を手伝わされているのでは」という疑問も,少なからず仄聞する.このような課題は山積しているが,それでもインセンティブとして妥当な時期が過ぎれば,今は重点評価されている医師事務作業補助加算の位置づけも,どこかで転機を迎えざるを得ない.
参考文献
1)瀬戸僚馬:医師事務作業補助者の発展段階.医事業務11.15号,2011
2)瀬戸僚馬:医師事務作業補助体制の推進を目的とした病院情報システムの標準的運用マニュアル.政策医療振興財団,2010
3)瀬戸僚馬,開原成允,他:医師事務作業補助者の業務と電子カルテなどへの代行入力の現状.医療情報学 29(6):265-272,2011
4)瀬戸僚馬,津村宏:医師が電子カルテ操作に費やす業務時間に関する調査.医療情報学 32(2):59-63,2012
5)徳島県地域医療再生室:平成23年度徳島県医師事務作業補助者導入推進事業Q&A,2011
6)日本医師事務作業補助研究会:医師事務作業補助者業務指針試案,日本医師事務作業補助研究会全国大会集録 3(Suppl),2013
7)寺澤ゆかり:救急部への医師事務作業補助者導入と今後の方向性について.日本臨床救急医学会雑誌 15(2):213,2012
8)瀬戸僚馬,開原成允,他:欧米の医師事務作業補助者が担う診療情報関連業務.診療情報管理 22(1):65-68,2010
9)経済産業省:社会人基礎力 育成の手引き,朝日新聞社,2010
10)瀬戸僚馬:医師事務作業補助者等の概念と役割.医療秘書全協誌 11(1):10-19,2011
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