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特集 新たな専門医制度と病院
新たな内科系専門医制度の考え方と制度設計の現況
著者: 渡辺毅12
所属機関: 1福島県立医科大学 腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学(内科学第三)講座 2日本内科学会 認定医制度審議会
ページ範囲:P.938 - P.943
文献購入ページに移動内科は,身体の内部(内臓)の異常を診療する経験的な学問体系として紀元前数千年から系統立てられ,現代医学の源流である古代ギリシアのヒポクラテスの教義の本質である「病状を正確に観察し記述する.病気よりも病人の現状を全体としてとらえ,将来の経過を正しく予知しようとする.環境条件が病気の発生や経過さらに人の体質気質に及ぼす影響を明らかにし,病気を自然現象として見る」という考え方は現在にも通用する.一方,外科学は外傷や腫瘍の治療技術として紀元前500年頃から発達してきた.臨床医学は,このような科学(science)と技術(art)を主体とする2つの潮流を受け継ぎ,診断と非手術的治療を内容とする内科系診療科と手術による治療学を基本とする外科系診療科に大別されて進歩してきた.
近年の自然科学・技術の急速な進歩により,診療領域が各臓器・系統ごとの多くの領域に細分化されていった.外科学が比較的早期から臓器別に独立し,一般外科としては消化器外科などいくつかの領域が主体となったのと対照的に,内科は比較的最近まで統一性を保つ形で推移してきたのが特徴である.専門医制度にもこの歴史が反映され,脳神経外科,整形外科,泌尿器科,耳鼻咽喉科など多くの外科系の多くの臓器別専門医が基本領域に分類されるが,内科系の臓器別専門医はsubspecialty専門医(二段階目)となっている.このことは,現在の日本の専門医制度の制度的な複雑さの要因と考えられる.
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