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特集 医療の公益性とは─医療法人制度改革の現状
文献概要
医療にかかわる営利・非営利,さらには公益性をめぐる問題が世間で最も盛んに討議された時期は,小泉内閣の頃である.いわゆる新自由主義的な勢力が,当時の規制改革会議などを舞台に営利企業,取り分け株式会社の病院市場参入自由化推進論を積極的に唱えていた.そうした“市場経済原理主義”注1)に対抗して,厚生労働省に「これからの医業経営の在り方に関する検討会」1)(2001~2003年)および「医業経営の非営利性等に関する検討会」2)(2003~2005年)が設けられ,わが国における医業経営のあり方が正面から論じられた.そこでの関係者の精力的な議論の影響もあり,医業経営における非営利性の意義が広まっていった結果,株式会社病院開設論等が下火となる一方,公益性をも意識した社会医療法人制度創設につながっていった経緯はいまだ記憶に新しい.
本稿では改めて医療をめぐる非営利性と公益性の考え方を整理して提示する.
本稿では改めて医療をめぐる非営利性と公益性の考え方を整理して提示する.
参考文献
1)厚生労働省:「これからの医業経営の在り方に関する検討会」最終報告書,2003http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/03/s0326-8b.html
2)厚生労働省:「医業経営の非営利性等に関する検討会」報告書,2005http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/07/s0722-9.html
3)田中滋:医療と経済.丸山徹(編):現代経済事情,培風館,2011,pp101-150
1)河口洋行:医療の経済学─経済学の視点で日本の医療政策を考える,日本評論社,2009
2)島崎謙治:日本の医療─制度と政策, 東京大学出版会,2011
3)二木立:TPPと医療の産業化,勁草書房,2012
4)日本医師会医療政策会議:医療を営利産業化していいのか,日本医師会,2012
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