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文献詳細

雑誌文献

病院72巻2号

2013年02月発行

文献概要

連載 医療管理会計学入門・11

医療界における原価計算の体系と発展・現状―経営情報マネジメントとしての管理会計②

著者: 荒井耕1

所属機関: 1一橋大学大学院商学研究科

ページ範囲:P.146 - P.150

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■医療界での原価計算の体系

 前号で述べた原価計算の意義(目的)に対応するため,医療界には次元の異なる2種類の原価計算がある.すなわち,診療報酬設定などを目的とした一国医療提供システムを経営するための「共通原価計算」と,医療機関を経営管理するための「病院原価計算」である1).このことを認識せずに,共通原価計算として開発されてきた原価計算(次号で紹介)に対して,「病院での原価計算として不適切である」といった批判を聞くことがある.しかし,共通原価計算には病院原価計算とは異なる設計要件注1)があり,目的も異なる以上,この批判は的外れである.

 また,どちらの次元の原価計算にも,“原価計算観”とも言うべき,基本思考を異にする複数種類の原価計算があり,さらに同一の基本思考に立つ原価計算でも,その志向性には異なるものが見られる.こうした異なる種類の原価計算をしっかりと認識しない議論は不毛である.そこで今回は病院原価計算に絞ってその体系を明らかにし,建設的な議論の基礎を提供したい.なお,それぞれの原価計算観に基づいて志向性を有する各原価計算は,どのタイプが絶対的に優れているかというわけではないことを,あらかじめ指摘しておく.原価計算に対する実施者の期待によって,適切なタイプは異なるからである.

参考文献

1)荒井耕:医療原価計算,中央経済社,2007
2)荒井耕:病院原価計算,中央経済社,2009
3)荒井耕・尻無濱芳崇:医療法人における管理会計制度の導入状況.病院 70(10):777-782,2011
4)荒井耕・尻無濱芳崇:医療法人における原価計算利用方法の実態.原価計算研究 36(2): 104-114,2012
5)荒井耕:病院界における部門別原価計算システムの現状.企業会計 56(2):119-125,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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