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連載 医療管理会計学入門・12【最終回】
病院原価計算の現状・課題と共通原価計算制度の必要性
著者: 荒井耕1
所属機関: 1一橋大学大学院商学研究科
ページ範囲:P.230 - P.233
文献購入ページに移動■サービス別原価計算の現状
2000年代後半のDPC別包括払い制の本格化(適用病院の拡大)に伴い,DPC別原価計算を中心に,サービス別原価計算が一部の先駆的な病院で普及し始めている.2009年5月に全DPC対象病院(2008年度)に対して実施した調査1)では,DPC別原価計算が12.0%の病院で実施されており,患者別(8.0%)や行為別(6.7%)の原価計算もわずかであるが見られた.また,DPC別や患者別には,病床規模による違いがある程度有意に観察され,大病院のほうが実施率が高い.さらに,規模の影響を避けるために規模を統制して公私間を比較したところ,患者別では統計的に有意に,DPC別では十分な有意性まではないものの,私的病院のほうが実施率が高かった.部門別原価計算と同様に,DPC別・患者別原価計算も,大規模病院や私的病院での導入率が高いのである.
同様に,規模を統制してDPC適用開始年度の早い(DPC経験が豊富な)病院と遅い(DPC経験の浅い)病院を比較すると,DPC別原価計算に関しては,十分な有意性はないものの,適用が早かった病院のほうが実施率が高い.さらに,ある公的病院グループを対象に実施した調査研究1)では,DPC対象病院とDPC準備病院という,DPC経験度の極めて異なる病院群間で比較すると,DPC別原価計算だけでなく,患者別や行為別の実施率もDPC経験豊富な病院のほうが有意に高い.DPC適用開始の時期とその後の経験が,DPC別原価計算などの導入に影響を与えていることが明確になった.
2000年代後半のDPC別包括払い制の本格化(適用病院の拡大)に伴い,DPC別原価計算を中心に,サービス別原価計算が一部の先駆的な病院で普及し始めている.2009年5月に全DPC対象病院(2008年度)に対して実施した調査1)では,DPC別原価計算が12.0%の病院で実施されており,患者別(8.0%)や行為別(6.7%)の原価計算もわずかであるが見られた.また,DPC別や患者別には,病床規模による違いがある程度有意に観察され,大病院のほうが実施率が高い.さらに,規模の影響を避けるために規模を統制して公私間を比較したところ,患者別では統計的に有意に,DPC別では十分な有意性まではないものの,私的病院のほうが実施率が高かった.部門別原価計算と同様に,DPC別・患者別原価計算も,大規模病院や私的病院での導入率が高いのである.
同様に,規模を統制してDPC適用開始年度の早い(DPC経験が豊富な)病院と遅い(DPC経験の浅い)病院を比較すると,DPC別原価計算に関しては,十分な有意性はないものの,適用が早かった病院のほうが実施率が高い.さらに,ある公的病院グループを対象に実施した調査研究1)では,DPC対象病院とDPC準備病院という,DPC経験度の極めて異なる病院群間で比較すると,DPC別原価計算だけでなく,患者別や行為別の実施率もDPC経験豊富な病院のほうが有意に高い.DPC適用開始の時期とその後の経験が,DPC別原価計算などの導入に影響を与えていることが明確になった.
参考文献
1)荒井耕:医療サービス価値企画,中央経済社,2011
2)荒井耕,尻無濱芳崇:医療法人における管理会計制度の導入状況.病院 70(10):777-782,2011
3)荒井耕,尻無濱芳崇:医療法人における原価計算利用方法の実態.原価計算研究 36(2):104-114,2012
4)荒井耕:病院原価計算,中央経済社,2009
5)荒井耕:医療原価計算,中央経済社,2007
6)西村万里子:診療報酬改定のメカニズムに関する歴史的考察.社会保障研究所(編):医療保障と医療費,東京大学出版会,1996,pp47-48
7)遠藤久夫:診療報酬制度の理論と実際.遠藤久夫,池上直己(編著):医療保険・診療報酬制度,勁草書房,2005,pp57-58,p67
8)前掲書6),pp61-62
9)医療経済研究機構:医療費原価モニタリングシステムに関する調査研究報告書,医療経済研究機構,2002
10)医療経済研究機構:医療機関の部門別収支に関する調査研究報告書(平成19年度),医療経済研究機構,2008,p82
11)厚生労働省 医療機関のコスト調査分科会:第20回分科会(平成24年7月4日)資料,2012http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ehgz.html
12)荒井耕研究室webサイトhttp://www.cm.hit-u.ac.jp/~arai/
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