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文献概要
特集 リビングウィルを考える
尊厳死のあり方―リビングウィルの法制化
著者: 岩尾總一郎1
所属機関: 1一般社団法人日本尊厳死協会
ページ範囲:P.270 - P.274
文献購入ページに移動 尊厳死とは,不治かつ末期の病態になった時,自分の意思により無意味な延命措置を中止して自然の摂理に経過を任せ,人間としての尊厳を保ちながら死を迎えることである.自然死や満足死,平穏死と同義で,積極的な方法で死期を早める安楽死とは根本的に異なる.(社)日本尊厳死協会(以下,当協会)は,終末期の医療について意識のある間に自分の意思を表し,医療機関が受け入れることのできる「尊厳死の宣言書」(リビング・ウイル)を発行・登録管理している(表1).2012年末現在,約12万5000人が会員登録している.
医療者に自分の意思を伝える「リビングウィル」のような事前指示書は,世界の多くの国々で法制化されている.米国では「Advance Directive」として州法に位置づけられており,人口の約41%,1億人以上が所持している.日本では法制化されていないため,まだまだ所持率が低い.当協会は,終末期医療における自己決定権を確立すること,すなわち,本人の意思に基づいて延命措置の中止を容認し,リビングウィルに従って医師が延命措置を中止しても免責される「尊厳死法」の制定を求めている.
医療者に自分の意思を伝える「リビングウィル」のような事前指示書は,世界の多くの国々で法制化されている.米国では「Advance Directive」として州法に位置づけられており,人口の約41%,1億人以上が所持している.日本では法制化されていないため,まだまだ所持率が低い.当協会は,終末期医療における自己決定権を確立すること,すなわち,本人の意思に基づいて延命措置の中止を容認し,リビングウィルに従って医師が延命措置を中止しても免責される「尊厳死法」の制定を求めている.
参考文献
1)山崎章郎:病院で死ぬということ,主婦の友社,1990
2)厚生労働省:平成23年人口動態統計調査,2012
3)岩尾總一郎:終末期の医療・介護と尊厳死をめぐる課題と展望.公衆衛生 75(4):296-300,2011
4)終末期医療のあり方に関する懇談会:「終末期医療に関する調査」結果について,2010 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000yp23.html
5)朝日新聞:倫理委が延命治療中止容認の結論─岐阜県立多治見病院.2007年1月8日
6)NHKニュース:呼吸器外し 患者の意向尊重も.2008年10月7日
7)Julian JZ,et al:Redefining Physicians'Role in Assisted Dying.N Engl J Med 367:97-99,2012
8)石飛幸三:「平穏死」のすすめ─口から食べられなくなったらどうしますか,講談社,2010
9)長尾和宏:「平穏死」10の条件─胃ろう,抗がん剤,延命治療いつやめますか?,ブックマン社,2012
10)中村仁一:大往生したけりゃ医療とかかわるな─「自然死」のすすめ,幻冬舎,2012
11)中村伸一:自宅で大往生─「ええ人生やった」と言うために,中央公論新社,2010
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