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特集 リビングウィルを考える
“good death”とリビングウィル
著者: 会田薫子1
所属機関: 1東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター 上廣講座
ページ範囲:P.275 - P.279
文献購入ページに移動 “good death”は日本語で言うならば「望ましい死」となろうか.終末期医療に関わる多くの研究課題がそうであるように,「望ましい死」を概念化する研究も,がん医療の分野で始まった.そして,終末期医療に関わる多くの研究がやはりそうであるように,“good death”の概念化の取り組みも英国や米国で開始され,日本に輸入された.
英米では今や,“good death”の実現は,がんにおける緩和ケアの重要な目的の1つとされているだけでなく,がん以外の疾患や,外傷性を含めた急性期の患者の終末期医療においても,より良い患者ケアのための重要な目標(goal)の1つとして認識され,学会ガイドラインにも記載されている.例えば,米国集中治療医学会は2001年にまとめた終末期医療に関する学会勧告1)の冒頭で,「患者にとっての“good death”を実現することは臨床医の役割である」と記している.
英米では今や,“good death”の実現は,がんにおける緩和ケアの重要な目的の1つとされているだけでなく,がん以外の疾患や,外傷性を含めた急性期の患者の終末期医療においても,より良い患者ケアのための重要な目標(goal)の1つとして認識され,学会ガイドラインにも記載されている.例えば,米国集中治療医学会は2001年にまとめた終末期医療に関する学会勧告1)の冒頭で,「患者にとっての“good death”を実現することは臨床医の役割である」と記している.
参考文献
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