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文献詳細

雑誌文献

病院72巻4号

2013年04月発行

文献概要

特集 リビングウィルを考える

患者の死と家族のケア―プライマリ・ケアの立場から

著者: 望月亮12

所属機関: 1福島県立医科大学医学部 地域・家庭医療学講座 2公益医療法人 仁泉会 保原中央クリニック 家庭医療科

ページ範囲:P.292 - P.296

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 一般国民,および医師,看護職員,介護職員を対象に厚生労働省が行った2010年のアンケート調査「終末期医療に関する調査」1)によると,10.9%の一般国民は終末期に「自宅で最後まで療養したい」と考えており,自宅で療養して必要になれば医療機関などを利用したいという回答も含めれば,60%以上の国民が「自宅で療養したい」と考えている.一方,70%以上の医師も終末期患者の療養場所として,自宅を勧めたいと考えている.この背景としては,ホスピス病棟などがまだ少ない現状では,急性期病棟に終末期患者の受け入れが期待されているため,病棟の本来の役割が遂行できないという事情も推測される.

 このように国民,病院ともに終末期医療における在宅への期待は大きい一方で,60%以上の国民が「自宅で最後まで療養することは実現困難である」と考えている.その理由としては「介護してくれる家族に負担がかかる」(79.5%),「病状が急変したときが不安である」(54.1%),「往診してくれる医師がいない」(31.7%),「急変時にすぐに入院できるか不安である」(31.6%)などがある.

参考文献

1)川島孝一郎,他:終末期医療のあり方に関する懇談会「終末期医療に関する調査」結果について,2010 http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/zaitaku/dl/07.pdf
2)厚生労働省医政局指導課 在宅医療推進室:在宅医療の体制構築に係る指針,2012 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_03-01.pdf
3)川島孝一郎,他:在宅医療のグランドデザイン(平成19年度厚生労働省長寿医療研究委託事業),2008 http://oushin-sendai.jp/download/pdf/c03/research/02.pdf
4)葛西龍樹(編):スタンダード家庭医療マニュアル─理論から実践まで,永井書店,2007,pp36-37
5)Hill R:Families under Stress:Adjustment to the Crisis of War Separation and Reunion,Harper & Row,1949
6)Hampe SO(著),中西睦子,他(訳):病院における終末期患者および死亡患者の配偶者のニード.看護研究 10(5):17-18,1977
7)アルフォンス・デーケン(編):死を看取る,メヂカルフレンド社,1986,pp255-274
8)Olson DH,et al:Circumplex model of marital and family systems:cohesion and adaptability dimensions,family types,and clinical applications.Fam Process 18(1):3-28,1979

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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