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特集 女性医師のキャリアデザインと病院
海外における女性医師の現状
著者: 米本倉基1
所属機関: 1藤田保健衛生大学大学院 保健学研究科 医療経営情報学領域
ページ範囲:P.435 - P.440
文献購入ページに移動2010年現在,OECD加盟34か国中,メキシコを除く33か国における自国内の全医師数に占める女性医師の割合は平均41%となっており,その割合が最も高い国は東欧エストニアの74.3%で,続いてスロベニア,ポーランド,スロバキアと続き,3か国とも50%を超える.北欧諸国もその割合を高くしており,フィンランド約55%,スウェーデン約45%,デンマーク約45%となっている(図1)1).その一方で,OECD加盟国中,女性医師の割合が最も低いのが日本の約19%である.女性医師の割合が著しく低いというこのデータを根拠に,また,先進国の中でも日本は人口当たりの勤務医数(男性含む)が低いというデータと併せて示すことで,女性医師のキャリア支援の必要性がクローズアップされている.しかし,「女性医師の増加に伴うキャリア支援策の問題」と「医師不足の問題」は,政策的には論考の前段において,いったん別々に議論を進めたほうが理解しやすい.
33か国で働くすべての女性医師120万人に占める割合で見ると,アメリカが全体の20%(約24万人),イタリア(約14万人)とドイツ(約13万人)が各11%,それにスペイン(約9万人),フランス(約8.5万人),イギリス(約7万人)が続き,日本は約5万人で第7位にランクインし,これらを含む上位10か国で全体の75%(約93万人)を占める.逆に,自国内に占める女性医師の割合が高い東欧・北欧諸国は,そもそも自国の医師数が少ないため女性医師数では下位に位置づけられ,自国内の7割が女性医師である割合トップのエストニアに至っては,男女合わせてわずか約6000人の医師しかおらず,うち女性医師は33か国の全女性医師の1%にも満たない(図2)1).
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