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文献詳細

雑誌文献

病院72巻6号

2013年06月発行

文献概要

研究と報告【投稿】

インシデントに起因する追加的医療費算出の試み

著者: 江上廣一1 廣瀬昌博12 津田佳彦1 大濱京子1 本田順一1 島弘志1 今中雄一3

所属機関: 1聖マリア病院 医療の質管理本部 2島根大学医学部附属病院 病院医学教育センター 3京都大学大学院医学研究科 医療経済学分野

ページ範囲:P.469 - P.473

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要旨 傷害レベル2以上のインシデントにより,検査や治療が実施され,あらたな費用(追加的医療費)が発生する.本院で2009年度のインシデントレポートから,転倒を除く一般事例のうち,レベル2以上の626例について追加的医療費を算出した.

 1件当たりの追加的医療費は,レベル2~3a:10,676±23,999円(216件)およびレベル3b~5:174,839±212,971円(22件)で,後者が有意に高額であった(p<0.001).また,追加的医療費の確認できた全事例242件のうち,最も実施された診療行為は“処置・手術”であり,最も医療費が投入された診療行為は“注射”であった.それらの実施件数および1件当たりの追加的医療費は,前者が137件(56.6%)および1,993円,後者が80件(33.1%)および25,235円であった.

 インシデントによる追加的医療費を正確に把握し,より適切な病院経営と医療安全活動を行うことができる.とくに高額の費用が必要なレベル3b以上への対策が重要である.

参考文献

1)国立大学附属病院長会議常置委員会 医療安全管理体制問題小委員会(編):国立大学附属病院における医療上の事故等の公表に関する指針,平成17年3月3日http://www.umin.ac.jp/nuh_open/H17shishin.pdf
2)小林美亜,他:インシデント・アクシデントにより発生する医療費推計の試み.医療と社会 16(1):85-95,2006
3)廣瀬昌博:インシデントレポート概要 研修医のためのリスクマネジメント講座,pp5-10,文光堂,2007
4)厚生労働省:医療安全対策のための医療法施行規則一部改正について,平成14年8月30日http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/2/kaisei/index.html,
5)江上廣一,他:インシデントレポート・医事管理データによる転倒・転落に起因する追加的医療費算出の試み,日本医療・病院管理学会誌 48(3):157-169,2011
6)Johnson EG, et al:The economic consequences of medical injuries. Implications for a no-fault insurance plan, JAMA 267(18):2487-2492, 1992
7)Thomas EJ, et al:Costs of medical injuries in Utah and Colorado, Inquiry 36(3): 255-264, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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