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雑誌目次

雑誌文献

病院72巻9号

2013年09月発行

雑誌目次

特集 医療計画はこう変わる

巻頭言

著者: 松田晋哉

ページ範囲:P.681 - P.681

 わが国が現在直面している医療問題の1つに,医療資源の適正配置の実現がある.このための制度的枠組みが医療計画であるが,これまでの計画は二次医療圏ごとの病床規制としての役割が強く,医療資源の適正配分のツールとしての機能は不十分であった.その原因の1つとしては,地域の傷病構造に関する情報が不足していたため,現状の医療提供体制とのギャップが不明確であったことが挙げられる.

 しかし,急性期病院におけるDPCの一般化とそのデータの公開,そして国内の全レセプトを集積したNational Database(以下NDB)の行政利用が可能になったことなどにより,こうした情報不足の状況が急速に改善しつつある.具体的には,DPC関連情報の公開により,国内約1700の急性期病院における診療実績(傷病別患者数,救急車による入院患者数等)が病院名とともに公開されたことで,二次医療圏別の救急医療の状況とがん医療に関する情報が詳細に分析できるようになった.さらにNDBのデータにDPCのロジックを適用することで,急性期入院,亜急性期入院,長期入院および外来医療における二次医療圏ごとの傷病構造と当該疾患の診療についての自己完結率(当該医療圏に居住する住民が当該医療圏の医療機関で治療を受けている割合)が把握できるようになった.また,本特集で説明されているように患者調査の結果を人口推計と組み合わせて解析することで,将来の傷病構造を推計する手法も開発されている.このような情報基盤が整備されたことでPDCAサイクルに基づいて進捗管理をするという,一般の企業経営では当たり前のことがようやく可能となったのである.

第6次医療計画の概要とこれからの医療計画のあり方

著者: 松田晋哉

ページ範囲:P.682 - P.688

 医療法では医療計画の目的を「多様化・高度化している国民の医療需要に対応して医療資源を有効に活用し,その適正な配置を図るとともに,医療関係施設間の機能分担と連携を図り,良質な地域医療の体系的な整備を推進する」としている.そして,計画には,住民の日常生活圏に相当する二次医療圏と,高度な医療を提供する圏域である三次医療圏(都道府県単位が原則,北海道のみ6つ設定)と,二次医療圏ごとの基準病床数を明記することが義務づけられている.

 この基準病床数は人口や受療率によって決定されるが,いったんこれが設定されると,圏域内の病院はこの基準病床数を超えて病床を持つことができなくなる.仮にある病院がこの基準を超えて開設する場合,都道府県知事は保険医療機関の指定をしないこと,すなわち医療保険からの支払いを拒否することができる.

地域医療ビジョンの考え方と課題

著者: 島崎謙治

ページ範囲:P.689 - P.695

 地域医療ビジョンは明確な定義があるわけではない.しかし,単なる普通名詞でもない.厚生労働省が特定の意味内容をもった言葉として用いているからである.本稿では,地域医療ビジョンの考え方について解説するとともに,その課題について考察する.

 なお,地域医療ビジョンを含め医療法改正案の内容等は,社会保障審議会医療部会(以下「医療部会」という)や社会保障制度改革国民会議(以下「国民会議」という)の今後の議論によって変わりうる.例えば医療部会では,知事会代表や医師会代表の委員から,平成27(2015)年度からの地域医療ビジョンの策定・実施は拙速だといった反対意見が出されており,現在の案でまとまるかは予断を許さない.また,国民会議はその設置期限〔平成25(2013)年8月21日〕が定められており,その前に報告書の取りまとめが行われるはずであるが,本稿は7月上旬までの情報に基づき執筆したものであることをお断りしておく.

傷病構造の将来推計

著者: 伏見清秀

ページ範囲:P.696 - P.699

 平成25(2013)年度から始まっている医療計画において,地域の各医療機関の機能の明確化や地域連携体制の強化が求められ,地域住民や地域医療機関にわかりやすい形で具体的に地域医療提供体制のビジョンを示すことが期待されている.特に中長期的な視点からは,地域ごとの患者数の動向を把握し,将来的な傷病構造の変化も加味する必要がある.

 本稿では,医療計画策定支援のために作成された地域傷病構造の将来推計の手法を解説する.この方法は,医療計画のみならず,地域の医療機関にとって中長期的な地域医療の展望を得るうえで最も重要な基礎資料となる.

National Databaseを用いた医療計画のための評価指標

著者: 藤森研司

ページ範囲:P.700 - P.704

 平成25(2013)年度から第6次の地域医療計画が始まった.今回の計画は今までの計画とは方法論が大きく異なり,具体的な数値目標を策定し,施策を実行して何らかの方法でモニターし,さらに改善を繰り返す.すなわちPDCAサイクルを回すものである.

 残念ながらそのための準備期間が十分とは言えず,各都道府県が新たに策定した地域医療計画は従前の範囲を出ないものが多いようである.その理由として,厚生労働省が案として示した各指標の意味について行政の担当者に十分な経験がないこと,各指標から具体的な医療のイメージを持つことが難しいこと,数値に基づく具体的な医療計画づくりに慣れていないことなどが考えられるが,確かに施設届や患者調査のデータの意味を行政の担当者が理解するには,相当な時間を要するであろう.

地理情報システム(GIS)を用いた医療提供体制の評価

著者: 石川ベンジャミン光一

ページ範囲:P.705 - P.708

 医療法第五章「医療提供体制の確保」では,「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保」を図るための基本的な方針を厚生労働大臣が定めた下で,都道府県が「基本方針に即して,かつ,地域の実情に応じて,当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画」を定めるものとされている.そのため,医療提供体制の評価にあたっては「医療の質および適切さ」「効率性」「地域の実情への適合性」の3つの軸を基礎として,具体的な指標を展開していくことが重要である.

 本稿では,このうち第3の軸である「地域の実情への適合性」について,地理情報システム(Geographic Information System:以下GIS)を用いて評価を行うアプローチについて論じる.

長野県の医療計画策定

著者: 眞鍋馨

ページ範囲:P.709 - P.712

 今回の医療計画の特徴の1つに,疾病・事業ごとに効率的・効果的な医療提供体制を構築するためのPDCAサイクルの一端として,全都道府県共通の,「病期・医療機能およびストラクチャー・プロセス・アウトカム」に分類した現状把握のための指標が,疾病・事業ごとの医療体制構築に係る指針に位置づけられたことが挙げられる.

 本稿では,本県における医療計画の策定に当たり,厚生労働省より提供されたレセプト情報・特定健診等情報データベース(通称:ナショナルデータベース,以下「NDB」という)および指標データをどのように活用したかを中心に述べる.

PDCAサイクルに基づく医療計画の評価

著者: 尾形裕也

ページ範囲:P.713 - P.717

■医療計画の見直しとPDCAサイクルの導入

 医療法に基づく医療計画は,1980年代中葉のいわゆる「第1次医療法改正」による導入以来,大きな改革を経験することなく,基本的には病床規制のツールとして機能してきた注1).医療計画が大きく見直され,ほぼ現在の形をとるに至ったのは,制度導入以来20年を経た2006年のいわゆる「医療制度構造改革」ないしは「第5次医療法改正」を通じてであった.その詳細を論ずることは他の文献に譲るが注2),本稿との関連では,PDCAサイクルが導入されたという点が重要である.

 例えば,平成19(2007)年7月20日付の都道府県知事宛厚生労働省医政局長通知「医療計画について」においては,「4疾病及び5事業については,地域の実情に応じて数値目標を定め,調査,分析及び評価を行い,必要があるときは変更することとされているが,これは医療機能に関する情報提供等とともに,住民にわかりやすい医療計画とし,より実効性を高めるために政策循環の機能が働く仕組みが組み込まれたことに留意すること」(下線は引用者)とされている.まさに「計画,実行」に加え,「調査,分析,評価,変更」という PDCAサイクルの「政策循環」が意識されているわけである.

フランスにおける医療計画改革の動向

著者: 松田晋哉

ページ範囲:P.718 - P.722

 フランスは国民皆保険のもと,自由開業制とフリーアクセスを原則として医療制度を構築してきた点など,わが国との共通点が多い.低経済成長下で高齢化の進行にどのように対応して,社会保障制度を再構築していくかという政策課題についても共通している.

 フランスの医療制度の特徴は国民皆保険の原則のもと,①患者の医師および医療機関の選択の自由,②医師の収入は診療報酬の出来高払い,③医師の自由開業制,など医療活動の制限が大変少ないものとなっていることである.この自由な医療環境は,フランス国民から「社会連帯」の具体的発現として高く評価されている一方,患者のドクターショッピングとそれに起因するサービス・処方の重複につながり,それがフランスの医療費増加の原因となっている.

グラフ

音楽劇「葉っぱの四季フレディ」

ページ範囲:P.665 - P.669

NPO法人キャトル・リーフは,病院や福祉施設などでミュージカルを上演するボランティア団体である.代表の中村明澄医師をはじめ,メンバーの約半数が医療者であり,その他のメンバーも普段はそれぞれの仕事をもつが,週末には舞台俳優に大変身! 今回,2013年6月21日,日本緩和医療学会(会場:パシフィコ横浜)において上演された音楽劇「葉っぱの四季 フレディ」の模様を紹介する.フィナーレでは原案・脚本の日野原重明・聖路加国際メディカルセンター理事長も登場し,手話をまじえて主題歌「いのちはめぐる」を合唱した.

連載 アーキテクチャー 第224回

竹田綜合病院 総合医療センター

著者: 宮村順

ページ範囲:P.672 - P.677

 竹田綜合病院は福島県会津若松市にあり病床数897床を有する日本でも有数の民間総合病院である.1928(昭和3)年に竹田内科医院を開業したことが始まりであり,85年の歴史がある.現在の開設者は一般財団法人竹田健康財団であり,長年地域の医療福祉に貢献している.

世界病院史探訪・6

15世紀に創設されたフランス・ボーヌのオテル・デュー

著者: 石田純郎

ページ範囲:P.679 - P.680

 オテル・デュー(Hotel-Dieu)はフランス語で,「神の家」「市民病院」を意味する.1443年にブルゴーニュの公爵Nicolas Rolinにより創設されたボーヌ(Beaune)のオテル・デュー(無休,冬季は昼食時休館あり)は,現在,病院博物館として公開されている.ボーヌのあるブルゴーニュ地方は美味しいワインを産する地域として有名で,土地の領主がこのオテル・デューに広大な葡萄畑を寄進し,その畑から獲れる葡萄をワインに醸造し,病院の経費に充てた.オテル・デューの外観は,修道院そのものである.

 観光客も多数訪れ,受付には日本語のオーディオも準備されている.入口から長方形の中庭に入るが,石が敷き詰められ,敷地の一角に,井戸がある.修道院病院の中庭には,花が植えられ,芝が敷き詰められていることが多い.この点がボーヌのオテル・デューの特徴である.

アンケートが現場を変える 短期集中型業務改善・6【最終回】

病院改革はアンケートから始まった

著者: 阪本研一

ページ範囲:P.725 - P.727

 これまで5回の連載で,美濃市立美濃病院(以下,当院)が経営改革の第1段階として移転直前に実施した全職員アンケートを用いた短期集中型業務改善(以下,本施策)について報告してきた.

 われわれは,全職員アンケートにより院内に潜在する問題点を徹底的に顕在化させることから始めた.他部門から寄せられた“生の声”を介して現状を認識することから出発することにより,その後の意識改革と業務プロセス改善は大きく進んだ.特に医師部門においては他部門より率直に提示された業務改善を求める意見が与えたインパクトは大きかった.本施策により当院は病院の全部門が部門の枠を越えて横断的に協議し業務改善を行うことを経験した.その中では医師部門の業務も例外ではなく,それまで医師部門に他部門が意見する機会をほとんど持たなかった病院が,医師部門も含めた複数の部門の業務を病院全体の業務システムとして見直すことを経験した意義は大きかった.

医療安全のこれから・2

医療安全再考(後編)―まだ来ぬ革命,求められるニューマネジメント革命

著者: 長谷川敏彦

ページ範囲:P.728 - P.733

いま「何が起きているのか」


日本の構造的欠陥

 日本において,ここ10年強,患者安全革命に関する官民をあげての全国民的取り組みは,世界や歴史に類を見ない快挙であった(図1).その大きな成功の裏には,前回で述べた日本が直面する深刻な課題があったとも言える.

 患者安全革命の急速な伸展にもかかわらず,いまだに現場にある焦燥感の理由は,実は日本の特殊な歴史のなかにあるのではないかと考えられる.言い換えると日本の病院の2つの構造的欠陥が問題なのだ.

診療情報管理の最前線・11【最終回】

診療情報管理士の未来と課題

著者: 阿南誠

ページ範囲:P.736 - P.739

 昨年の11月号から始まった連載もいよいよ11回目の今回が最終回となった.長々とお付き合いいただいた読者諸氏,無理をお願いした執筆者諸氏,診療情報管理士の話題を取り上げてくださった『病院』の担当者の方々にまずは御礼を申し上げたい.

 さて,私の診療情報管理士の歴史や現在の概況の紹介から始まった連載は,表のテーマ,執筆者によって多くの視点から,診療情報管理士そのものから,置かれた環境,今後の期待や課題など,多くの示唆に富んだ内容となった.タイトルの診療情報管理最前線の話題は十分にお伝えできたのではないかと自負している.

病院機能分析の実際・3【最終回】

様々な診療機能比較分析

著者: 森脇睦子 ,   伏見清秀

ページ範囲:P.740 - P.743

 これまでの2回の連載では,「地域患者シェアと診療圏分析」と「診療科ベンチマーク分析」を示し,地域における自院の位置づけを把握すること,自院の課題をマネジメント単位である診療科で取り組むことの重要性を述べた.

 今回は,診療機能分析から見える「病院の効率化」と「病院が受け入れている外来患者像」について示す.診療機能分析は,「効率的な医療を提供しているか」「複雑な疾患への医療を提供しているか」「手術や化学療法をどのくらい実施しているか」「地域との連携が進んでいるか」「二次医療圏外から受診している患者はどのくらいか」といった視点から,自院を特徴づけている要因を把握し,さらに,病院全体,MDC別,診療科別,領域別,4疾病別と詳細化していくことにより,病院の特徴をより深く把握するものである.

日本発の外国人患者対応認証・3【最終回】

湘南鎌倉総合病院のJMIP認証

著者: 代田雄大

ページ範囲:P.744 - P.745

 “I have chest pain.”と急に訴えられた時に,“OK. Please fill this registration form out.” もしくは “Please wait. I will contact our ER department right now.”など,状況・状態に合わせて,とっさに答えることができるだろうか.

 患者自身の身体に関わることであるために感情が表面化されやすく,当事者のストレスレベルも高い.駅で切符を買えずに困っている人を助けるのとは違い,しっかりと対応できる確率は低いと言えるだろう.また,英語であればどうにか対応できるかもしれないが,ポルトガル語,タガログ語,アラビア語等になると対応できるキャパシティにも限度がある.さらに,あらゆる部署にて,来院から診察,各種検査,場合によっては入院を含め,退院・会計に至るまで,均一なサービスを患者の第一言語で提供することは難しい.

鉄郎おじさんの町から病院や医療を見つめたら…・72【最終回】

明日を見つめる病院のために

著者: 鉄郎

ページ範囲:P.746 - P.747

 連載を始めて6年経過した.初稿は2007年10月1日.そして,本稿で連載を終えることになった.海援隊の『思えば遠くへ来たもんだ』のように,1年続けばいいと始めたものが,こんなにも長く続いた.ほんとうに遠くへきたものである.

 連載の原点は,先妻が自分より先に死んだことであり,それによって観念でしかなかった死生観が,現実の迫りとなったところに位置する.その意味で,連載3回目の「1%の可能性」と題した随想は,忘れることができない.

リレーエッセイ 医療の現場から

2つの職種で学んだこと

著者: 荒井有美

ページ範囲:P.751 - P.751

 薬剤師と看護師の臨床経験について,「稀有な経歴ですね」と言われることがある.2つの職種の実務経験が医療安全管理者である今を支えている.

 薬学部を卒業し,大学病院に就職した.目標としていた臨床薬剤師としては,就職2年目から活動することになった.薬剤師が病棟に常駐することは近頃では珍しくはないが,約20年前の当時は違った.私は,病棟に配置された初日の挨拶で,看護師から「別に薬剤師さんは病棟に必要ないですよ」と返され,ショックを受けたことを覚えている.つまり「薬剤師が何のために来るのか? 患者さんに薬を渡すことなら看護師がやっている」ということであったのだろう.

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書籍紹介

ページ範囲:P.722 - P.722

書評 保護室の実態と役割―三宅 薫(著)『行って見て聞いた 精神科病院の保護室』

著者: 中山茂樹

ページ範囲:P.724 - P.724

 保護室は,精神科治療プロセスにおける重要な環境として位置づけられている.厚生労働省の「医療観察法下の行動制限等に関する告示」は,患者の隔離についての基本的な考え方を「患者の症状からみて,本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く,(中略)その危険を最小限に減らし,患者本人の医療又は保護を図ることを目的として行われるもの」だと示している.しかしこれまで,この空間への施設性能として求められてきたものは,自殺防止への配慮や,耐破壊性能が中心であり,治療的環境を達成しようとする議論には至っていなかったように見える.また,たたずみ・就寝・休息・食事・排せつの行為空間が一体となっていること,室内の空間性状条件,外部空間との関係や,窓からの景観などに対する具体的設計指針が医療側から示されていなかったことなど,治癒的環境を建築計画としてどのように創造するべきなのか明らかではなかった.

 著者は「保護室を治療・看護に積極的に生かす」とし,保護室は治療・看護のための空間であることを主張しておられる.また,巻末にある中井久夫神戸大学名誉教授のコメントにも「精神病院は最大の治療用具である」というエスキロールの言葉が引用されており,医療・看護の領域から,建築空間を単なる器ではなく,治療に直結するものであることをご指摘いただき,建築に身を置くものとして,その重みを深く受け止めた.

書籍紹介

ページ範囲:P.727 - P.727

書評 医学・医療の先駆者の証し―日野原 重明(著)『日野原重明ダイアローグ』

著者: 髙久史麿

ページ範囲:P.734 - P.734

 本書は日野原重明先生の講演録,インタビュー,座談会などを中心にまとめたもので,話の内容は,W・オスラー博士の数々の言葉の紹介,医学教育,研修制度,プライマリ・ケア,ホスピス,診療録,臨床疫学のあり方,EBM,看護教育など,極めて広範囲にわたっている.

 日野原先生は様々なシステムを日本に導入された医学・医療の先駆者として,日本で最も尊敬されている医師である.本書を通読して痛感したのは,私たちが常日頃感じている医学教育や医療のあり方に関する様々な問題点を,1973年の座談会「英国の医療とプライマリ・ケア」(J.Fry氏,紀伊國献三氏,小林登氏)に始まり,2005年の座談会「誰がために記録はある」(児玉安司氏,阿部俊子氏)に至るまで,一貫して日野原先生が指摘しておられることである.「医療はscienceをベースにしたartである」ということをたびたび強調されていることも印象深い.

投稿規定

ページ範囲:P.749 - P.750

次号予告/告知板

ページ範囲:P.752 - P.752

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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