icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院73巻12号

2014年12月発行

文献概要

連載 医療計画・地域医療ビジョンとこれからの病院マネジメント・6【最終回】

医療介護情報の可視化と病院マネジメント

著者: 松田晋哉1

所属機関: 1産業医科大学 医学部 公衆衛生学教室

ページ範囲:P.977 - P.982

文献購入ページに移動
 社会の高齢化の進行は後期高齢者の増大を意味する.連載第2回で大分県北部医療圏の例で示したように,後期高齢者の増加に伴って肺炎,骨折,脳血管障害の入院患者が増加する1).しかしながら,この分析は第一主傷病のみを用いて分析した結果であり,実際の後期高齢者の場合,医療ニーズは複合的である.すなわち,上記の傷病は相互に関連しながら顕在化し,そして認知症を合併している場合も少なくない,さらに,こうした高齢者は介護のニーズも持っており,したがって医療介護の両面から総合的に考える必要がある.
 おそらく地域の医療介護関係者はこうした認識をすでに持っていると思うが,具体的な数字が示されていないために,その対策は進んでいない.厚生労働省は地域包括ケアの実現を今後10年間の最も重要な政策課題として位置づけていると考えられる.その実現のためには医療ニーズ・介護ニーズの高い高齢者が,できうる限り在宅で生活できることを支えるためのサービス提供体制を実現することが求められる.

参考文献

1)松田晋哉:地域医療ビジョンと第6次医療計画のめざすもの.病院 73(7):567-571, 2014
2)松田晋哉,片山壽:地域包括ケアをどのように具体化するのか.社会保険旬報No. 2525: 10-16, 2013
3)松田晋哉:平成25年度厚生労働科学研究補助金(長寿科学総合研究事業)・介護予防を推進する地域づくりを戦略的に進めるための研究(H25-長寿-一般-006:研究代表者・松田晋哉)報告書.平成26年3月
4)松田晋哉:平成25年度厚生労働科学研究補助金(政策科学推進研究事業)・医療計画を踏まえた医療の連携体制構築に関する評価に関する研究(H24-医療-指定-037)総括報告書.2014
5)松田晋哉:平成25年度厚生労働科学研究補助金(厚生労働科学特別)・今後の医療需要を踏まえた医療機能の分化・連携を促すための地域医療ビジョン策定に向けて把握すべきデータやその活用方法に関する研究(H25-特別-指定-007)総括報告書.2014
6)松田晋哉:地域医療ビジョンについて.社会保険旬報,No.2586, 2014(印刷中)
7)Matsuda S, Tanaka M: Why does the Japanese Frail Aged Prefer to Stay in the Long Term Care Wards?. APJDM 4(2): 41-48, 2010
8)松田晋哉:医療のなにが問題なのか-超高齢社会日本の医療モデル.勁草書房,2013
9)宇沢弘文:社会的共通資本.岩波書店,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら