文献詳細
文献概要
連載 世界病院史探訪・11
11世紀の大修道院が1804年にシュピタールに改組されたバンベルク
著者: 石田純郎1
所属機関: 1医療法人慈生会 介護老人保健施設くつろぎ苑
ページ範囲:P.95 - P.96
文献購入ページに移動印象的なツインタワーの巨大な教会は,取材時には工事のため閉鎖されていたので,内部見学は不可能であったが,天井には580種の薬草と3枚の中世ペストの流行の記憶を表現した人と骸骨のフレスコ画が描かれている.巨大なシュピタール棟は,3,4階建ての堂々とした建築で,教会の西側とそれとは別に,教会に向かい合う形で建てられ,現在も多数の老人を収容している.向かいのシュピタール棟の中央には,1979年以後,ビール博物館(Frankisches Brauerei Museum)が置かれているが,かつてのビール醸造所の跡である.修道院で自給自足の生活をするためと,シュピタールの維持費を捻出するために,12世紀から1969年までの間,実際にこの建物でビールが醸造されていた.ドイツの修道院において,ビール醸造は,市民による醸造に先駆けて行われた.ビールは修道士の栄養源として,また修道院を泊まり歩く巡礼者や修道院が世話する入所者(貧困者,老人,病人)へ提供する飲み物として,欠かせないものであった.
掲載誌情報