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文献詳細

雑誌文献

病院73巻2号

2014年02月発行

文献概要

特集 2025年に求められる病院経営のプロ

国立病院機構のあゆみ―経営に着目して

著者: 桐野高明1

所属機関: 1独立行政法人 国立病院機構

ページ範囲:P.129 - P.134

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 国立病院機構は公務員型の独立行政法人として2004年に法人化された組織である.機構は北は北海道旭川,南は沖縄県宜野湾市に至る143の病院,約5万床の病床と約5万6,000人の職員によって構成される(図1).その起源は言うまでもなく,旧国立病院・療養所だが,それらの病院群は戦前の陸海軍の病院と傷痍軍人療養所をもとに1945年12月,陸海軍が消滅した翌日から広く国民のための医療を提供する施設となったことに端を発する.日本が高度経済成長に入って,各地に様々な設置形態による病院が整備されるようになると,国の病院だけに依存する必要性が低くなってきた.当時国立病院の運営には多額の国費が費やされていたので,昭和60年代に国立病院の統廃合が行われ,全部で170くらいまで数が減少した.もともとの起源の中に,傷痍軍人の療養施設や結核療養所が多く含まれおり,国民にとって受診しやすい一般の病院としての利便性を考慮した立地に設置されていたわけではなく,また国民の医療という観点でその分布が配慮されていたわけでもない.このことは,その後の国立病院・療養所の大きな限界の1つとなった.

 生活レベルの向上と治療法の発達によって,結核が急激に減少し,国立病院のうちの大きな割合を占めていた結核病床は削減されることになった.その際,一部の病院は統廃合の対象となり,一部は国として担当するべき医療のうちで,必ずしも民間だけでは担えない重症心身障害児の医療や,神経難病(特に筋ジストロフィー症)などの疾患を担う病院にその役割を変化させてきた(これをセーフティネット系と呼んでいる.図1下段参照).そして2004年に公務員型の特定独立行政法人となったのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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