文献詳細
文献概要
特集 病院食再考 【事例】
本当の美味しさを病院で―アルテミス ウイメンズホスピタル
著者: 武谷典子1
所属機関: 1医療法人社団レニア会 アルテミス ウイメンズホスピタル(旧きよせの森総合病院)
ページ範囲:P.382 - P.386
文献購入ページに移動 昨年(2013年)12月4日,和食が世界文化遺産に登録されたという嬉しいニュースが届きました.それに先立つ昨10月,「和食を文化遺産に!」という気運を高めるため,京都府は「日本料理文化博覧会 和食の未来に向けて」という催しを開催しました.私はこの会に,当院の料理長と一緒に参加しました.第一部は裏千家今日庵文庫長の筒井紘一氏と京都の名だたる料理店のご主人たちのフォーラム.第二部は京都の20店舗のシェフたちのコラボレーションによる試食会でした.フォーラムでは,鎌倉時代の禅宗の高僧で,食について深い洞察を披瀝した曹洞宗の開祖,道元禅師のことが話題になっていました.とても興味深いお話でしたが,私はこの時まで道元師のことをよく知りませんでした.帰宅後すぐ,道元師が食のあり方について書き綴った『典座教訓』を買い求め読了しました(正確には藤井宗哲訳・解説の『道元「典座教訓」』,角川ソフィア文庫,2009).
道元師の教えの中心となるものの一つに,崇寧2(1103)年に完成した禅宗の清規の書,『禅苑清規』に始まる六味三徳の考えがあります.六味とは,苦味,酸味,甘味,辛味,塩味1)の五味に淡味を加えたものです.三徳は軽輭(軽やかでふっくらとしていて舌触りが心地よいこと),浄潔(不純でないこと),如法作(理にかなった調理がなされていること)です.
道元師の教えの中心となるものの一つに,崇寧2(1103)年に完成した禅宗の清規の書,『禅苑清規』に始まる六味三徳の考えがあります.六味とは,苦味,酸味,甘味,辛味,塩味1)の五味に淡味を加えたものです.三徳は軽輭(軽やかでふっくらとしていて舌触りが心地よいこと),浄潔(不純でないこと),如法作(理にかなった調理がなされていること)です.
掲載誌情報