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連載 医療の可視化と病院経営・2
わが国の医療情報の可視化の現状と課題(1)—データ解析のツール
著者: 松田晋哉1
所属機関: 1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.144 - P.151
文献購入ページに移動平成25(2013)年4月25日病床機能の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会での議論の結果,各都道府県は圏域内の医療機関の機能に関する情報や地域の医療需要の将来推計を活用し,平成27(2015)年度から地域医療構想(ビジョン)の策定を開始することとなった.筆者らは,厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「今後の医療需要を踏まえた医療機能の分化・連携を促すための地域医療ビジョン策定に向けて把握すべきデータやその活用方法に関する研究(H25-特別-指定-007)」(研究代表者:松田晋哉)の枠組みの中で,ガイドライン策定に当たって必要となる基礎資料を作成し,これを「データブック」という形で厚生労働省に提出した1).このデータブックは各都道府県の担当部署に配布された後,筆者ら研究班のメンバー〔松田晋哉(産業医科大学),藤森研司(東北大学),伏見清秀(東京医科歯科大学),石川ベンジャミン光一(国立がんセンター研究所)〕が講師となって,活用方法に関する講習会を複数回行ってきた.配布したソフトなどの操作方法はさほど難しいものではないと思われるが,一連のツールを用いてどのような分析を行い,そしてそれをどのようなシナリオにまとめ上げるかというところで,各都道府県の担当者は苦慮している.
実は今回提供したツールのいくつかは第6次医療計画策定のための資料として,筆者らの研究班,平成24年度厚生労働科学研究補助金(政策科学推進研究事業)「医療計画を踏まえた医療の連携体制構築に関する評価に関する研究(H24-医療-指定-037)」(研究代表者:松田晋哉)で作成し,各都道府県に配布したものの更新版である2).残念ながらこの研究で作成した資料集は長野県などの先進的事例を除くと,あまり活用してもらえなかった.その最も大きな理由は資料集で提示した指標群の活用のためには,ある程度の医学的知識が必要とされるため,非医療職である担当者には扱いにくいものであったという意見が関係者から寄せられている.実際,この資料集を用いた研修会でも,筆者らが提供した資料を用いてどのように計画を作るのかについては具体的なイメージが持てないという感想が多かった.
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