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連載 医療の可視化と病院経営・9
DPCおよびNDBデータを用いた病床機能別病床数の推計方法
著者: 松田晋哉1
所属機関: 1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.678 - P.683
文献購入ページに移動■はじめに
平成25(2013)年4月25日「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」での議論の結果,各都道府県は圏域内の医療機関の機能に関する情報や地域の医療需要の将来推計を活用し,平成27(2015)年度から地域医療構想の策定が開始された.この検討にあたっては病床機能別の病床数を推計することが必要であり,この基本的方法論を筆者らの研究班で確立することとなった.この推計方法に関しては以下の点に配慮することが求められた.
①現在の年齢階級別・傷病別・病床機能別入院率を勘案して将来の病床機能別病床数を推計すること
②上記将来推計にあたっては圏域間の患者移動についても配慮すること
③地域差を補正した場合の効果を推計できる仕様とすること
このような要求に応えるためには,現在の傷病構造に関する詳細な情報が必要である.そこで筆者らの研究班では,厚生労働省が収集しているDPCデータおよびNDB(National Database)データを用いて病床機能別病床数を推計するロジックの開発を行った.この推計の考え方について地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(以下,GL検討会)で了承を得たのち,厚生労働省内部で実際の推計作業が行われ作成されたのが病床機能別病床数推計ツールである.
今後,この推計ツールをもとに各都道府県において議論が進むことになるが,その際使用したデータの特性とそれによる限界についてもあらかじめ理解しておく必要がある.そこで,連載9回目である本稿では,ツール作成の基本となった推計の考え方についてその概要を説明する.なお,本稿の記述は筆者らの研究報告書によるものである1).詳細については報告書を参照されたい.
平成25(2013)年4月25日「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」での議論の結果,各都道府県は圏域内の医療機関の機能に関する情報や地域の医療需要の将来推計を活用し,平成27(2015)年度から地域医療構想の策定が開始された.この検討にあたっては病床機能別の病床数を推計することが必要であり,この基本的方法論を筆者らの研究班で確立することとなった.この推計方法に関しては以下の点に配慮することが求められた.
①現在の年齢階級別・傷病別・病床機能別入院率を勘案して将来の病床機能別病床数を推計すること
②上記将来推計にあたっては圏域間の患者移動についても配慮すること
③地域差を補正した場合の効果を推計できる仕様とすること
このような要求に応えるためには,現在の傷病構造に関する詳細な情報が必要である.そこで筆者らの研究班では,厚生労働省が収集しているDPCデータおよびNDB(National Database)データを用いて病床機能別病床数を推計するロジックの開発を行った.この推計の考え方について地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(以下,GL検討会)で了承を得たのち,厚生労働省内部で実際の推計作業が行われ作成されたのが病床機能別病床数推計ツールである.
今後,この推計ツールをもとに各都道府県において議論が進むことになるが,その際使用したデータの特性とそれによる限界についてもあらかじめ理解しておく必要がある.そこで,連載9回目である本稿では,ツール作成の基本となった推計の考え方についてその概要を説明する.なお,本稿の記述は筆者らの研究報告書によるものである1).詳細については報告書を参照されたい.
参考文献
1)医療機関の病床区分や人員配置等に関する研究(H26-医療-一般-001),平成26年度厚生労働科学研究補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)研究・総括報告書(研究代表者:松田晋哉),平成27年3月
2)松田晋哉:地域医療構想調整会議で使用されるデータの解釈.病院 74:590-597,2015
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