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連載 多文化社会NIPPONの医療・2
医療ツーリズムの落とし穴
著者: 堀成美12
所属機関: 1国立国際医療研究センター国際感染症センター 2国立国際医療研究センター国際診療部
ページ範囲:P.890 - P.891
文献購入ページに移動居住している地域から健康の改善のために移動することは昔から行われてきた.温泉で戦の傷や病を癒す「湯治」は,外国でも日本でもはるか昔から行われている.本稿では,「医療を受ける目的で他の国に渡航すること」を医療ツーリズムと呼ぶ.もともと医療制度は自国民の生命や健康を守るために設計されており,サービスの全て/多くが公費で運営されている.そこに国外からやってくる患者はどのように位置づけられるのだろうか.もちろん救命のために医療を提供することは対象が日本人でも外国人でも変わらないので,問題となるのは受診のために余裕をもって渡航を計画してくるような人たちである.冒頭の質問は,そもそも国の制度上どのような位置づけかという話なのだが,同時に「当院ではこのように対応をする」と意思表示が求められるガバナンスの問題でもある.トラブルや混乱が生じる前に,ぜひご検討いただきたい.
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