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文献詳細

雑誌文献

病院76巻3号

2017年03月発行

文献概要

連載 病院勤務者のためのDPCデータ解析入門・12【最終回】

連載のまとめに代えて

著者: 松田晋哉1

所属機関: 1産業医科大学公衆衛生学教室

ページ範囲:P.235 - P.238

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■はじめに
 本連載第2回から第11回まで,筆者らの教室で取り組んでいるDPCデータの分析とその活用方法に関する基礎的事項について解説した.公開データを活用することで自院の外部環境が,そして自院データをMS-AccessなどのデータベースソフトとQlik senceなどのビジネスインテリジェンスツールを組み合わせて分析および可視化することで内部環境が分析できる.そして,それを病院が持っている他の情報と組み合わせ,SWOT分析のような経営管理手法により分析することで,自院の経営課題が外部環境と相対化され明らかとなる.
 情報は活用されてこそ意味がある.DPCという仕組みが制度化され,すでに10年以上経った.DPC関連情報を何らかの形で経営に活用していないDPC対象病院はほとんどないだろう.しかしながら,その活用のレベルにはまだ施設間で大きな差がある.自施設で分析を担当できる人材育成に力を入れている施設から,分析のほとんどを外部のコンサルテーション会社に任せている施設までさまざまである.筆者はコンサルタントの意義を否定しない.ただし,それが本当に有効であるためには,コンサルタントが指摘する課題あるいは提案する改革案を批判的に検証できる内部の担当者がいることが不可欠である.そのためには本連載で紹介したような分析を行える人材が,各施設で育っている必要がある.また,このような人材がいることはDPC制度が健全に運営されるための前提条件である.そうした人材を中核としてInformation governanceがしっかりと行われる体制づくりが求められるのである1)
 本連載の最後に,これまでの内容を踏まえた上で,さらなるデータ活用のために筆者が現時点で考えている視点について説明したい.

参考文献

1)本野勝己:病院勤務者のためのDPCデータ解析入門(第10回)分析結果の実務への応用(1)病院経営陣に必要な指標の作成方法.病院 76:156-161,2017
2)松田晋哉:医療介護総合データベースを用いた大腿骨頸部骨折患者の医療介護サービス利用状況の分析.社会保険旬報No. 2647:6-11,2016
3)松田晋哉:データから見る回復期病棟・療養病床の役割.病院 75:846-850,2016
4)福岡県医師会・産業医科大学公衆衛生学教室:福岡県地域医療構想 福岡糸島医療圏を例とした策定素案.平成28年7月 ※他の12構想区域についても作成
5)神奈川県医師会:地域医療構想 神奈川県データ資料集.平成28年12月
6)OECD: OECD医療の質レビュー 日本 スタンダードの引き上げ 評価と提言.2014 https://www.oecd.org/els/health-systems/ReviewofHealthCareQualityJAPAN_ExecutiveSummary.pdf(平成29年1月7日確認)
7)国立病院機構http://www.hosp.go.jp/(平成29年1月7日確認)
8)恩賜財団済生会http://www.saiseikai.or.jp/(平成29年1月7日確認)
9)産業医科大学公衆衛生学教室・保険データ分析に基づく地域医療の未来創造コース https://sites.google.com/site/pmchuoeh/activities/mirai(平成29年1月7日確認)
10)東京医科歯科大学・課題解決型高度医療人材養成プログラム PDCA医療クオリティマネージャー養成 http://www.tmd.ac.jp/koudoiryou_med/index.html(平成29年1月7日確認)
11)第14回 社会保障制度改革国民会議 議事録 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai14/gijiroku14.pdf (平成29年1月3日確認)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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