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雑誌目次

雑誌文献

病院76巻4号

2017年04月発行

雑誌目次

特集 生き残る病院の事務職

巻頭言

著者: 伊関友伸

ページ範囲:P.265 - P.265

 本特集のタイトル「生き残る病院の事務職」には2つの意味がある.一つは,病院が生き残っていくために,事務職に何が求められているのか.もう一つは,病院の中で必要な職として生き残るために,事務職集団は何をすべきかである.
 論文「病院事務の歴史を考察する」で論考したように,病院という組織を運営する場合,医療を提供する医療者のほか,金銭出納事務,文書管理,施設業務を行う事務職を配置する必要がある.社会が変化し,病院の提供する医療が高度化することにより,大福帳による金銭出納が,複式簿記になり,コンピュータが導入され,電子カルテと連動し,DPCによる診療報酬が導入されるなど,事務職の仕事も進化していく.

病院事務の歴史を考察する—『病院』誌特集が物語る「事務」から「マネジメント」への変遷

著者: 伊関友伸

ページ範囲:P.266 - P.272

●病院事務の歴史を,過去の『病院』誌特集を通じて俯瞰した.
●社会の変化,医療が高度化することにより,病院における事務職の仕事も進化していく.
●病院事務職は,業務をただこなすだけでなく,病院をマネジメントする力が求められる時代となっている.

これからの病院経営マネジメント職に求められるもの

著者: 田﨑年晃

ページ範囲:P.273 - P.278

●より複雑で不確実な時代においてこそ,組織の変革を支える病院経営マネジメント職の活躍が求められる.
●大切なのは使命感であり,変化に立ち向かうことである.

病院における経営企画部門担当者に求められるもの—聖路加国際病院「経営企画室」の取り組みを通して

著者: 門田美和子

ページ範囲:P.279 - P.284

●聖路加国際病院における「経営企画室」の主な業務は,①特命プロジェクト/新規事業,②会議体事務局,③医業収益の確保,④データ分析・統計業務の4点であった.
●経営企画部門の最も基本的な機能は,判断につながる材料としての客観的かつ定量的なデータを,そのデータがもつメッセージと合わせて提示することで,意思決定を支援することである.
●経営企画部門の担当者には,経営トップの判断や思いを現場に伝える一方,共感と敬意をもって現場の理解に努めることで,両者をつなぎ統合する役割が求められている.

病院経営マネジメント部門における人材養成マネジメントのあり方

著者: 三好彰範

ページ範囲:P.285 - P.290

●当院では,人材養成マネジメントシステムの構築によって職員のモチベーションを上げ,ビジョンを達成できる組織に変革した.
●人材養成マネジメントシステムの実行プロセスとして,管理者の教育カリキュラムを策定し,組織人および部下をもつ管理者としての技術向上を目指した.
●人事考課の目的はモチベーション向上にあり,そのためには上司と部下の信頼関係が必須である.

経営戦略と連動させる病院事務職の人材育成システム—キャリアパス,キャリアラダー,業務分担表による「見える化」が組織力を高める

著者: 久保田巧

ページ範囲:P.291 - P.296

●組織におけるキャリアデザインの構築が,事務職員の目指すべき経路の「見える化」となる.
●安定した指導で確実に成果を出すためには,上司の能力だけに頼らない,ある程度の標準化された仕組みが必要である.
●詳細業務の責任の所在を明確にし,プレ・リーダーとしての人材育成をさせるのと同時に,成果の最大化につなげる.

病院事務職が目指すコミュニケーションとは

著者: 小前貴志

ページ範囲:P.297 - P.301

●病院事務職は有資格者の集まる病院組織の中で,無駄のないコミュニケーション能力を駆使し「病院の調整役」として病院経営をマネジメントしていく必要がある.
●病院事務職が身につけるべきコミュニケーションには複数の段階があり,最終形は合理的かつ効率的な「阿吽の呼吸」ともいえる関係である.

30代新任事務長の病院経営改革

著者: 藤井将志

ページ範囲:P.302 - P.306

●状況に合わせた経営改革のやり方がある.
●当院では,事務部主導でインフルエンザ予防接種の運用見直しを行った結果,60%増益を達成した.
●熊本地震における中小規模病院の対応から,被災後の医療支援のあり方には再考の必要があると考える.

対談

事務職から経営マネジメント職へ

著者: 正木義博 ,   伊関友伸

ページ範囲:P.249 - P.254

病院事務職は,もはや単なる事務職ではない.
済生会熊本病院事務長として組織改革に携わり,数々の先駆的な取り組みを推進してきた正木氏は,経営をどのように改善し,人をどう育てたか.
病院マネジメント,人材育成の哲学を聞く.

連載 アーキテクチャー×マネジメント・28

医療法人社団 和楽仁 芳珠記念病院

著者: 西野辰哉

ページ範囲:P.258 - P.263

 芳珠記念病院(図1)は320床(2016年5月時点)で地域包括ケア病棟を有し,地域包括ケアシステムの構築に参画し,一般病棟と療養病床を有する「地域包括ケアミックス病院」を自称している.病棟構成は,一般病床200床[DPC対象86床(HCU2;15床,7対1一般;71床),地域包括ケア病棟82床(4階40床,B1階42床),障害者病棟32床]と療養病床120床[20対1医療療養病棟60床(うち休床30床),介護療養病棟60床]からなる.その他,介護老人保健施設などを含めて「ほうじゅグループ」を構成している.
 今回,この病院を取り上げる理由は次の二点である.第一に,高層片廊下型,PPCシステム,3層階1病棟1看護管理単位などのアイデアを盛り込んだ病棟(1983年)に対する使用後評価はどのようなものであろうか.第二に,現在,地域包括ケア病棟協会会長を務める仲井培雄理事長は自らの病院でどのように地域包括ケア病棟を実践されているのであろうか.順にみていきたい.

ケースレポート 地域医療構想と民間病院・14

公益財団法人脳血管研究所 美原記念病院—脳神経疾患の専門病院としてのモデル事例

著者: 松田晋哉

ページ範囲:P.308 - P.314

■病院の概要1)
 美原記念病院は群馬県伊勢崎市にある脳血管障害・神経疾患を専門とする病床数189床のケアミックス病院である.診療科目は神経内科,脳神経外科,整形外科,リハビリテーション科,内科,外科,放射線科,循環器科である.病棟構成は一般病棟45床(DPC対象病棟),障害者施設等一般病棟45床,回復期リハビリテーション病棟99床(2病棟)となっている.神経科領域の専門病院として日本神経学会や日本脳卒中学会,日本脳神経血管内治療学会などの認定医研修教育機関であり,また美原盤院長の母校である慶應義塾大学の専門医研修教育機関にも指定されている.さらに関連施設として介護老人保健施設,訪問看護ステーション,地域包括支援センター,居宅介護支援事業所も有しており,脳神経領域において急性期から介護・福祉までカバーする総合的なサービスを提供している.
 図1は厚生労働省が公開している平成26(2014)年度のDPC病院の実績を見たものであるが,美原記念病院は伊勢崎医療圏における脳血管障害領域の重要な救急病院となっている.また,図2に示したように,DPC病院の中では救急医療係数,複雑性係数,効率性係数が常に全国平均を大きく上回る,脳神経領域における高機能病院でもある.

赤ふん坊やの地域ケア最前線!—病院と地域のかかわりを学ぶ旅・[14]

宮崎県日南市

著者: 木佐貫篤

ページ範囲:P.316 - P.319

 宮崎県南部の都市・日南市では,県立病院の医療連携科が市行政と協働しながら多岐にわたる連携の仕組みを提案・実現して,病診連携,医療介護連携にとどまらず,地域そのもののケアにもかかわっているんだ! 連載第14回目の今回は,既成の概念にとらわれない新しい発想を発信し続ける宮崎県立日南病院医療連携科の取り組みを紹介するね! 種々のアイデアの宝庫・木佐貫篤部長にお話を聞きました!

病院組織コーチング・11

[コーチング導入事例・2]名古屋第二赤十字病院—全病院的なコーチング導入が生んだ組織改革の成果

著者: 石川清

ページ範囲:P.320 - P.322

■はじめに
 医療を取り巻く環境が激変する中,医療機関の多くが組織改革を迫られている.しかし,決め手となる処方箋を探しあぐねている医療機関も少なくない.元来,コーチングはスポーツ界で導入された手法だが,最近では,人材育成や組織改革の手法として企業で広く採用されるようになった.医療界では,患者向けに治療に前向きに取り組ませる支援ツールとして職員がコーチングを個々に学ぶケースはあった.しかし,組織改革を目的に全病院的に取り組んだのはわが国では名古屋第二赤十字病院(以下,当院)が初めてである.コーチングは対話を通して相手の意欲を引き出し,主体的に物事を考え行動する力を身につけることができ,その結果,活気ある職場づくり,組織風土改革につなげることができる.

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Book Review 医師の感情—「平静の心」がゆれるとき

著者: 平島修

ページ範囲:P.307 - P.307

Book Review —快をささえる—難病ケア スターティングガイド

著者: 坂本すが

ページ範囲:P.315 - P.315

Back Number

ページ範囲:P.324 - P.324

Information

ページ範囲:P.325 - P.325

次号予告

ページ範囲:P.328 - P.328

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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