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文献詳細

雑誌文献

病院77巻10号

2018年10月発行

文献概要

研究

複数主治医制による,病院勤務医の労働時間,仕事満足度およびバーンアウトへの効果の検討:前向き横断研究

著者: 竹村知容1 嶋田雅俊1 片岡裕貴1 伊木れい佳1 平位知之1

所属機関: 1兵庫県立尼崎総合医療センター呼吸器内科

ページ範囲:P.806 - P.811

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要旨
【目的】複数主治医制による,病院勤務医の勤務時間と仕事満足度への効果を検討すること.
【方法】2017年4〜5月の間に,単一の大規模市中病院で複数主治医制を行っている呼吸器内科,腎臓内科と,行っていない神経内科,糖尿病・内分泌内科の医師を対象に前向き横断研究を行った.主要アウトカムは,①1カ月当たりの超過勤務時間,②仕事満足度,③バーンアウトの有無である.
【結果】複数主治医制を行っている科といない科で対象者はそれぞれ20人,15人であった.平均超過勤務時間はそれぞれ52.5時間,65.2時間であった(p=0.26),多変量解析では有意差が見られた(95%信頼区間-46.6 to -0.7,p=0.04).仕事満足度,バーンアウトに有意差は見られなかった.
【結論】複数主治医制による仕事満足度とバーンアウトの関連は認められなかったが,超過勤務時間は減少する可能性が示唆された.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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