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文献詳細

雑誌文献

病院77巻4号

2018年04月発行

文献概要

連載 医療と法の潮流を読む・11

残された課題—意思決定を中心に

著者: 小西知世1 宇都木伸2 三木知博3

所属機関: 1明治大学法学部 2東海大学 3武庫川女子大学薬学部

ページ範囲:P.333 - P.336

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 「こうしてぼくたちは,絶えず過去へ過去へと運び去られながらも,流れにさからう舟のように,力のかぎり漕ぎ進んでゆく」1)—フィツジェラルド『グレート・ギャツビー』のラストを飾るこの一節は,おそらく,この連載の執筆者・読者双方に共通する心象風景だろう.たった1年の連載期間中にも,医療法が改正されたり,「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」が大改訂されるなどのことが起こった.今日の医療と法の潮流は,あたかも濁流のごとき激しく厳しく底が見えないものとなっており,私たちは,日々,この潮流に呑み込まれ翻弄されている.流れるがままに身を任せてしまう方が楽なことはよく知っている.にもかかわらず,医の側に立つ者であるか法の側に立つ者であるかに関係なく,自らが置かれた立場・責任,そして矜恃に従い目指すべき港を定め進んでいかなければならない…….
 振り返ってみれば,この連載の真の目的は,医療に関わる者は皆,今という時代は力のかぎり漕ぎ進まなければならない状況にあることを,あらためて確認することにあったのかもしれない.そしてその確認作業も,あと2回を残すのみとなった.今回は,本連載のこれまでの回で採り上げることができなかったテーマをごく簡単に指摘した上で,至急,対応が必要になると思われる意思決定に関する問題について,少し考えてみようと思う.

参考文献

1)フィツジェラルド(著),野崎孝(訳):グレート・ギャツビー.p262,新潮社,1989
2)新美育文:患者の同意能力.星野英一,森島昭夫(編):現代社会と民法学の動向/加藤一郎先生古稀記念(上)—不法行為.p417,有斐閣,1992
3)唄孝一:インフォームド・コンセント.市野川容孝(編):生命倫理とは何か.p37,平凡社,2002
4)佐藤彰一:アドボケイト活動と「意思決定支援」.西田英一,山本顯治(編):振舞いとしての法—知と臨床の法社会学.p222,法律文化社,2016
5)唄孝一:志したこと,求めたもの.p51,日本評論社,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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