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文献詳細

雑誌文献

病院77巻8号

2018年08月発行

文献概要

特集 ダイバーシティ・マネジメント—多様性に対応する

医師の「働き方改革」のゆくえ

著者: 堀岡伸彦1

所属機関: 1厚生労働省医政局医事課医師養成等企画調整室

ページ範囲:P.625 - P.629

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●長時間労働は健康を損ねるだけでなく,仕事と家庭生活との両立を困難にし,少子化の原因や女性のキャリア形成を阻む原因,男性の家事・育児を阻む原因となっている.
●2017年3月,抜本的な働き方改革を目指した「働き方改革実行計画」が策定された.その中で「医師については,時間外労働規制の対象とするが,医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要である」とされ,規制の適用を施行後5年間猶予し,2年後を目途に規制の具体的な在り方,労働時間の短縮策などについて新たに検討することとされた.
●医療の世界においても働き方改革が必要である.その中でも抜きんでて長時間労働なのは医師である.働き方の改革が求められることは当然であるが,応召義務や養成に時間がかかるなど医師の働き方改革は通常とは異なる困難さがある.
●わが国の保健医療が,医療従事者の負担と倫理観に過度に依存したシステムであってはならない.喫緊の課題として今まさに長時間労働を行っている医師の業務を軽減するため,他職種へ業務移管(タスクシフティング)をする必要がある.
●医師の特殊性とは何か整理し,それに応じた新たな仕組みを考えていくことが必要である.

参考文献

1)首相官邸 一億総活躍社会の実現 働き方改革の実現 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html(平成30年5月21日確認)
2)The Girl Who Died Twice: Every Patient's Nightmare: the Libby Zion Case and the Hidden Hazards of Hospitals. https://psnet.ahrq.gov/resources/resource/1594(平成30年5月21日確認)
3)厚生労働省 医師需給分科会 女性医師の年次推移 参考資料3 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000069214.pdf#search=%27%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81+%E5%A5%B3%E6%80%A7%E5%8C%BB%E5%B8%AB+%E5%89%B2%E5%90%88%27(平成30年5月21日確認)
4)総務省統計局 平成24年度就業構造基本調査 http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index2.html#kekka(平成30年5月21日確認)
5)新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会 厚生労働科学特別研究 医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査報告書 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000160954.html(平成30年5月21日確認)
6)第4回医師の働き方改革に関する検討会 資料2-3,4 四病院団体協議会及び全国医学部長病院長会議調査「医師の勤務環境改善策の取り組み状況についての緊急調査」 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000184229.html(平成30年5月21日確認)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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