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連載 医療提供体制の変貌 病院チェーンと保健・医療・福祉複合体を中心に・4
医療法人以外の私的病院チェーンの分析
著者: 二木立1
所属機関: 1日本福祉大学
ページ範囲:P.756 - P.761
文献購入ページに移動本連載第3回では「1991〜2011年の医療法人病院チェーンの推移と構造」を分析しました.本稿では,医療法人以外の私的病院チェーンの分析を行います.具体的には,第3回と同じく,主に矢野経済研究所『全国病院開設法人・団体名鑑2012年版』を用いて,公益法人・会社・社会福祉法人・医療生協・宗教法人および私立学校法人の6法人の病院チェーンを検討します.私立学校法人の大半は私立医科大学で,その病院チェーンは規模と機能の両面で,それ以外の法人の病院チェーンとは大きく異なるので,区別して扱います.上記資料のデータは2011年で少し古いですが,これらの法人の病院チェーンが分かる資料はこれ以降出版されていないので,ご了承ください.
本稿のポイントは以下の通りです.
1)医療法人以外の私的病院の病院チェーンの病床シェアは私立医科大学が突出して高い(93.3%).この割合は公益法人で51.7%,会社で58.0%,社会福祉法人・医療生協・宗教法人(旧・その他の法人)で40.3%であり,いずれも医療法人の28.7%を大幅に上回っている.しかも,1988〜2011年のシェア拡大も,医療法人のそれを上回っている.
2)ただし,病院チェーン病床数の2/3(65.5%)は医療法人が占めている.
3)私立学校法人を除けば,公益法人・会社・社会福祉法人・医療生協・宗教法人の病院チェーンの平均規模は,医療法人病院チェーンに近い.
4)私立学校法人を含めて,私的病院チェーンの大半は,大規模なものも含めて「地域的存在」である.
5)1,000床以上の医療法人以外の巨大病院チェーンは45存在する(私立学校法人25,その他20).
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