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文献詳細

雑誌文献

病院78巻11号

2019年11月発行

文献概要

特集 病院と患者の関係—informed consentを越えて

これからの時代に求められる患者-医療者関係—「対話」の重要性

著者: 孫大輔1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科 医学教育国際研究センター 医学教育学部門

ページ範囲:P.816 - P.819

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●「生活モデル」を中心とするこれからの時代において,医療者に求められるコンピテンシーとして「対話(dialogue)」が重要となる.
●医療者が患者と「対話」を行うための専門的な能力として,「患者中心の医療の方法」と「家族志向性ケア」が挙げられる.いずれも,患者のナラティヴとコンテクストを捉えながら,協同的に意思決定していくモデルである.
●地域に出て行く医療者が行えるもう一つの対話の形として「健康生成論的アプローチ」がある.地域の人々の強みや資源に注目し,ウェルビーイングを強化する実践である.

参考文献

1)猪飼周平:地域包括ケアの社会理論への課題—健康概念の転換期におけるヘルスケア政策.社会政策2:21-38,2010
2)デヴィッド・ボーム,金井真弓(訳):ダイアローグ—対立から共生へ,議論から対話へ.英治出版,2007
3)Stewart M, Brown JB, Weston WW, et al:Patient-Centered Medicine:Transforming the Clinical Method. California, SAGE Publications, 1995[山本和利(監訳):患者中心の医療.診断と治療社,2002]
4)Kleinman A:The Illness Narratives;Suffering, Healing, and the Human Condition. Basic Books, New York 1989[江口重幸,五木田紳,上野豪志(訳):病いの語り—慢性の病いをめぐる臨床人類学.誠信書房,1996]
5)McWhinney IR: A Textbook of Family Medicine, 2nd ed. Oxford University Press, New York, 1997
6)McDaniel SH, Campbell TL, Hepworth J, et al:Family Oriented Primary Care, 2nd ed. Springer Science & Business Media, New York 2005[松下明(監訳):家族志向のプライマリ・ケア.シュプリンガー・フェアラーク東京,2006]
7)Engel GL: The Clinical Application of the Biopsychosocial Model. Am J Psychiatry 137: 535-544, 1980
8)Antonovsky A:Unraveling the Mystery of Health;How People Manage Stress and Stay Well. Jossey-Bass, San Francisco1987[山崎喜比古・吉井清子(監訳):健康の謎を解く—ストレス対処と健康保持のメカニズム. 有信堂高文社, 2001]
9)武田丈:参加型アクションリサーチ(CBPR)の理論と実践—社会変革のための研究方法論.世界思想社,2015
10)孫大輔,密山要用,守本陽一:家庭医が街で屋台を引いたら—モバイル屋台による地域健康生成プロジェクト.日プライマリケア連会誌41:136-139,2018
11)岡檀:生き心地の良い町—この自殺率の低さには理由(わけ)がある.講談社,2013
12)ミハイル・バフチン,桑野隆(訳):ドストエフスキーの創作の問題—付:より大胆に可能性を利用せよ.平凡社,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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