文献詳細
文献概要
連載 医療提供体制の変貌 病院チェーンと保健・医療・福祉複合体を中心に・2
2010年以降の病院チェーン・複合体の文献レビュー
著者: 二木立1
所属機関: 1日本福祉大学
ページ範囲:P.430 - P.435
文献購入ページに移動■はじめに
今回は,病院チェーンと「保健・医療・福祉複合体」(以下,複合体)についての私以外の文献で,2010年以降に発表されたものを検討します.
そのために,①今まで収集した日本語文献を読み直すとともに,②CiNii(国立情報学研究所)を用いて,「複合体」等をキーワードにした文献検索を行い,③『病院』,『日経ヘルスケア』等代表的な病院経営誌の過去10年分のバックナンバーをチェックしました.2010年以降の文献に限定するのは,2012年に2010年前後までに発表された文献レビューを行っているからです1).連載第1回で述べたように,複合体の網羅的な全国調査は私の『保健・医療・福祉複合体』(1998年.データは1996年まで)以降,20年間行われていません.病院チェーンの全国調査は,医療法人に限定しても私が1994年に発表した論文(データは1991年まで)以降,30年近く行われていません2).
しかし,この間にも病院チェーンや複合体(以下,両者を総称する場合は病院グループ)の名簿や調査報告はいくつか発行されているし,本誌や『日経ヘルスケア』等の病院経営誌は,病院グループの新しい動きを特集したり,代表的な法人・経営者のレポートを時々掲載したりしています.今回はそれらのうち,病院グループの最新動向が分かるものや,本連載3回以降,各種全国調査等を行う上でのヒント・課題が得られたものを紹介します.本稿で紹介する文献以外にも,先進的な病院グループの単発の事例報告(研究者や雑誌編集者,または病院グループ理事長等が執筆したもの)は多数あります.しかし,今回は紙数の制約上,それらについてはごく一部しか紹介できないことをお断りします.また,文献は医療法人等の私的病院グループについてのものに限定します.
今回は,病院チェーンと「保健・医療・福祉複合体」(以下,複合体)についての私以外の文献で,2010年以降に発表されたものを検討します.
そのために,①今まで収集した日本語文献を読み直すとともに,②CiNii(国立情報学研究所)を用いて,「複合体」等をキーワードにした文献検索を行い,③『病院』,『日経ヘルスケア』等代表的な病院経営誌の過去10年分のバックナンバーをチェックしました.2010年以降の文献に限定するのは,2012年に2010年前後までに発表された文献レビューを行っているからです1).連載第1回で述べたように,複合体の網羅的な全国調査は私の『保健・医療・福祉複合体』(1998年.データは1996年まで)以降,20年間行われていません.病院チェーンの全国調査は,医療法人に限定しても私が1994年に発表した論文(データは1991年まで)以降,30年近く行われていません2).
しかし,この間にも病院チェーンや複合体(以下,両者を総称する場合は病院グループ)の名簿や調査報告はいくつか発行されているし,本誌や『日経ヘルスケア』等の病院経営誌は,病院グループの新しい動きを特集したり,代表的な法人・経営者のレポートを時々掲載したりしています.今回はそれらのうち,病院グループの最新動向が分かるものや,本連載3回以降,各種全国調査等を行う上でのヒント・課題が得られたものを紹介します.本稿で紹介する文献以外にも,先進的な病院グループの単発の事例報告(研究者や雑誌編集者,または病院グループ理事長等が執筆したもの)は多数あります.しかし,今回は紙数の制約上,それらについてはごく一部しか紹介できないことをお断りします.また,文献は医療法人等の私的病院グループについてのものに限定します.
参考文献
1)二木立:日本の保健・医療・福祉複合体の最新動向と「地域包括ケアシステム」.文化連情報No.408:28-35,2012[二木立:TPPと医療の産業化.pp165-177,勁草書房,2012.二木立:医療経済・政策学の探究.pp371-384,勁草書房,2018に再録]
2)二木立:(医療提供体制の変貌1)私の病院チェーンと複合体研究の回顧.病院78:281-287,2019
3)矢野経済研究所:病院グループの将来展望.矢野経済研究所,各年版(2002,2005,2007,2011,2015,2017年版.2011年版以前は「病院グループ徹底分析」)
4)藤森敏雄:(連載)公開データからみた病院医療法人の経営実態,Medical QOL 2006年5月号〜2019年4月号(以後「休載」)
5)藤森敏雄:全国調査からみた医療法人の経営戦略.創成社,2013
6)荒井耕:医療法人の事業報告書等を活用した「医療経済実態」把握の有用性-既存の公的類似調査の適切な補完.一橋大学商学研究科WP146修正/追加,2017年10月7日版(ウェブ上に公開)
7)二木立:保健・医療・福祉複合体とIDSの日米比較研究—「東は東,西は西」の再確認.社会保険旬報 No.2062:6-11,2063:18-25,2000[二木立:21世紀初頭の医療と介護.pp253-294,勁草書房,2001.二木立:医療経済・政策学の探究.pp343-371,勁草書房,2018に再録]
8)吉良伸一郎:(特集)M&Aで攻勢強める病院チェーン.日経ヘルスケア2011年11月号:20-34
9)井上俊明・江本哲朗:(特集)病院M&A最前線.日経ヘルスケア2012年9月号:20-34
10)加納亜子:(特集)地域包括ケア時代の病院チェーンの経営戦略—カマチグループ,古賀病院グループの方針とは.日経ヘルスケア2019年4月号:45-53
11)古城資久:病院経営統合・グループ化の意義と理念.病院72:542-545,2013
12)(無署名)第13回医療ファイナンス研究部会白鳳会グループのM&A戦略(前編・後編).H&F 2018年9月号:28-29,10月号:26,27
13)近年行われた病院の合併・再編等に係る調査研究報告書(平成23年度厚生労働省医政局委託 医療施設経営安定化推進事業).アイテック,2012(企画検討会委員:伊関友伸,大坪修,高木安雄,名倉栄一,藤原研司.ウェブ上に要旨公開)
14)佐藤眞杉:自伝による美杉会グループの歩み.pp197-202,日本医療企画,2019
15)吉良伸一郎:(特集)首都圏に進出した地方法人の狙いと“戦果”.日経ヘルスケア2010年6月号:45-55
16)井上邦彦:変わる勇気,変える勇気—こうほうえんのサービス改革.pp230-241,生産性出版,2018
17)井口拓治:(クローズアップ)社福法人の首都圏進出.週刊福祉新聞 2019年1月14日号(1面)
18)松田晋哉:志村大宮病院—地域リハビリテーションのネットワーク構築を通したまちづくりへの積極的参画と地域共生型CCRCの提案.病院75:211-218,2016
19)松田晋哉:寺岡記念病院—コモンズ創設の試みとスローメディシンの実践.病院75:295-300,2016
20)松田晋哉:恵寿総合病院—施設品質から地域品質へ:変化の先頭に立つ経営.病院75:536-543,2016
21)松田晋哉:高橋病院—地域包括ケアを支える医療介護統合の拠点機能を目指して.病院75:708-713,2016
22)磯田友里子:地域協創型の医療経営—志村大宮病院.恩蔵直人・岩下仁(編):医療マーケティングの革新.pp196-225,有斐閣,2018
23)鈴木邦彦:かかりつけ医,医師会と連携して生活を支える病院を目指す.病院77:202-209,2018
24)坂口一樹,森宏一郎:医療による地域活性化:仮説構築に向けたケーススタディ.日本医師会総合政策研究機構ワーキングペーパーNo.411,pp.11-23,2018
25)川上武,小坂冨子:農村医学からメディコ・ポリス構想へ.勁草書房,1988
26)伊澤敏:佐久総合病院の地域づくり—メディコポリス構想.病院74:486-490,2015
27)宮本憲一,遠藤宏一(編):地域経営と内発的発展-農村と都市の共生を求めて.pp90-115(遠藤宏一執筆),181-204(平野隆之執筆),農文協,1998
28)印南一路:成功例の共通要因サーチの致命的欠陥.Monthly IHEP(医療経済研究機構)232号:24-28,2014
29)二木立:「地域包括ケア研究会2015年度報告書」を複眼的に読む.文化連情報No.460:18-23,2016[二木立:地域包括ケアと福祉改革.pp25-32,勁草書房,2017に再録]
30)二木立:「地域包括ケア研究会2016年度報告書」をどう読むか? 文化連情報No.473:10-16,2017[二木立:地域包括ケアと医療・ソーシャルワーク.pp40-47,勁草書房,2019に再録]
掲載誌情報