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文献概要
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欧洲の病院視察談(下)
著者: 塩澤摠一1
所属機関: 1警察病院
ページ範囲:P.23 - P.31
文献購入ページに移動次にフインランドのことを申上げます。フインランド,ここは御承知の通り小さな国でありますが,ソヴエトと大いに戦かつて,ソヴエトを相当手こずらした国であります。然し結局敗けて大切な鉱山を取られたり,或は良い港を取られたり,賠償金も10億ドルとか取られたという話を聞いておりましたので相当疲弊しているんじやないかと行く前は想像して居つたのであります。然しここも存外違つておつたのであります。勿論飛行機で降りて,空港からフインランドの首都のヘルシンキにゆく途中あたりは日本の東北の田舍のような気がして非常に淋しいところですが,ヘルシンキの町の中は相当賑やかであります。私共はこゝでも二三の病院を見せてもらいましたが,そのうち主だつたものをちよつと申しますと,ヘルシンキ大学の婦人科を見せていただきました。ここのバラーという講師の方が案内してくれましたが,建物の高さは8階位で,白煉瓦の造りであつて,ここの病院では病棟の建物が互に直角になつて居る様な所は少なく妙な角度で造つてあり,又一直線でなく曲線になつて居る建物が多い。これはどういうわけかと訊いてみますと,北極圈に近い国の採光,通風に応じて造つたのだということでありました。
また産科の病室にすぐ附随して小児科の建物がある。これは戦後造つたものでベツドが2-300位あると云う。
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