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入院料金に関する考察
著者: 岩佐潔1
所属機関: 1厚生省医務局医務課
ページ範囲:P.21 - P.25
文献購入ページに移動入院料金を如何程に決定すべきかと云うことは病院の経営上のみならずこれを負担する国民経済の観点から重大な問題である。この意味からして入院料金が実際の支出経費よりも異常に低く決定されることも当然考えられるし,或いは個室や,2人部屋の入院料金を実経費より遙に高くしてその分だけ大部屋の入院料金を低く定めると言う様なことも望ましいかも知れない。しかし今これからなそうと云う考察はかかる社会政策的考慮を含まない純粋の経済的会計学的考察であることを最初に注意しなければならない。
私は先に院病管理の基本的性格は資本主義的なものであることを指摘した。資本主義的企業に於ては収支の関係を数字に表現された姿に於て完全に把握することが第一の要件となる。この把握が出た上で,或いはそれをなす過程に於て多くの資本主義企業に於ては最少経費を以て最大利潤を挙げる様に努力するものであるが,病院の特殊性はこの利潤追求については他の公企業の場合と同様例外的であることについてもすでに指摘した。かくして病院に於て必要なことは,最少の経費で最大の効果を挙げる様に努力することでありその為には先ず第一に経費の支出状況を正確に把握することである。
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