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文献詳細

雑誌文献

病院8巻6号

1953年06月発行

文献概要

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温泉病院に関する2〜3の問題(上)

著者: 伊藤久次12

所属機関: 1国立伊東温泉病院 2国立伊東保養所

ページ範囲:P.25 - P.30

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1.温泉病院(療養所)存在の意義
 温泉病院とは温泉地の病院の謂いではなくて,まだ「温泉科」ともいうべき診療科名は現行医療法では認められていないが,温泉国日本では,必ずや将来設定されるであろう「温泉科」を病院名に冠したものであつて,しかも温泉地にあつて,温泉療法を治療の主体とした病院を呼称したい。
 狭い4つの島に温泉場数933,源泉数6305と称せられ,この国は温泉の数において,又泉質の種類において惠まれている点では世界に冠たるものがある。日本国民の温泉を愛好し利用することも多く,温泉の歴史は既に神話伝説にもある程古く,国民総人口の3分の1に該当する利用者延数が統計上見受けられる。反之温泉の近代医学的利用法は我国では却つて発達遅々たる状況であつて,温泉に乏しい欧洲諸国に比し著しい遜色があり,場所によつては今日尚民間療法の域中にある場合すら認められる。しかも亨樂的気分の溢れた温泉地は全国到る所に,その例を見る様になり,1部の人士は温泉利用を極力亨樂面のみに好んで指向した結果,温泉即歓樂也という風になり,遂には人工東京温泉等というものまで出現する世の中とはなつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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