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文献詳細

雑誌文献

病院80巻1号

2021年01月発行

文献概要

連載 病院で発生する「悩み」の解きほぐし方・9

このお金は支払わなければならないでしょうか?

著者: 越後純子1

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 医療の質・安全部 医療安全対策室

ページ範囲:P.74 - P.76

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Case
 採血をして1週間後の患者から,病院に電話があり,「採血をした側の手が痺れ,他院で診察を受けたところ,採血が原因だと言われた.どうしれくれるのか」と声を荒げていました.
 院長は,電話では状況がよくわからないので,とりあえず,患者の状態を確認した上で話をしようと思い,患者に診療時間外に病院に来てもらいました.採血をした部位を確認しましたが,特に腫れや出血の跡は見られませんでしたが,患者は痺れると言っています.患者は,他院でかかった費用と今後の診療費を支払え,この件で迷惑を被ったのだから誠意を見せろと部屋の外まで聞こえるような大声ですごんできました.ちなみに,他院の診断書や領収証は持参していません.今後も,もしこの患者が診療時間中に来院し,他の患者の前で大声を出したらと考えると,気が気ではありません.
 院長が採血をした看護師に確認したところ,以下の事情が分かりました.
Ⓐ採血は,翼状針を用いて行われ,穿刺時,痺れや痛みの訴えはなく,テープで針を固定し,3本目に付け替えた時点で一瞬「痛い」と訴えがありましたが,痛みの性状は電撃痛や放散痛ではなく,その後痛みや痺れの訴えもなく,そのまま残り2本の採血を完了しました.
Ⓑ採血時,駆血しても静脈が浮かず,静脈が分かりにくかったため,深い位置の静脈を針先で探っていたところ,患者が強い痛みを訴えましたが,わずかに針を進めたところ,血液の逆流がみられたため,そのまま採血をしました.ちなみに,痛みの性状は電撃痛でした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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