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文献詳細

雑誌文献

病院80巻10号

2021年10月発行

文献概要

特集 新・ケアミックスが病院を変える—超高齢社会の患者ニーズの複合化への対応 ケアミックス化の必然性

データから考えるケアミックス化の現状と課題

著者: 松田晋哉1

所属機関: 1産業医科大学公衆衛生学教室

ページ範囲:P.850 - P.853

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■問題の所在
 筆者はこれまで病院に関連する種々の公的委員会に参加してきた.そこでの議論では,時に「ケアミックスは営利主義の事業展開であり,医療を望ましくない方向に誘導するものである」という意見が出される.大学における急性期を中心とした医学教育,看護教育を背景に,医療者の中に急性期>回復期(亜急性期)>慢性期という「医療の格」に関する暗黙のヒエラルキーがそこには見え隠れする.
 また,メディアの論調でも,急性期以後の医療において営利的な診療が横行しているようなイメージのものが少なくない.この背景には1980年代から1990年代にかけて老人病院のケアの質に関する実態を報道したメディアの影響も大きいだろう.営利目的での「検査漬け,薬漬け」というのが老人病院の実態であるというイメージが広がってしまったことは,その後の高齢者医療の展開の大きな足かせとなった.

参考文献

1)厚生労働科学研究・政策科学総合研究事業・政策科学推進研究事業「急性期の入院患者に対する医療・看護の必要性と職員配置等の指標の導入に向けた研究(20AA2002)(研究代表者 松田晋哉)」令和2年度 総括研究報告書.2021年3月
2)厚生労働科学研究費補助金・長寿科学政策研究事業「在宅・介護施設等における慢性期の医療ニーズの評価指標等を作成するための研究(H30-長寿-一般-003)(研究代表者 松田晋哉)」平成30年-令和2年度総合研究報告書.2021年3月
3)武久洋三:日本慢性期協会定例記者会見(2019年8月8日)https://jamcf.jp/chairman/2019/chairman190808.pdf
4)武久洋三:日本慢性期協会定例記者会見(2020年1月9日)https://jamcf.jp/chairman/2019/chairman200109.pdf
5)松田晋哉,大谷誠,藤本賢治,他:医療・介護のビッグデータ分析32 入退院の経路別にみた肺炎を発症した要介護高齢者の在院日数の分析.社会保険旬報2739:26-30,2019
6)厚生労働科学研究費補助金・地域医療基盤開発推進研究事業「地域医療構想を踏まえた在宅医療の充実についての政策研究(20IA1004)(研究代表者 松田晋哉)」令和2年度 総括研究報告書.2021年3月
7)国立社会保障・人口問題研究所ホームページ:人口ピラミッド画像,2020年の画像 http://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/2020.png
8)松田晋哉:医療法人ふらて会西野病院 病院の持つ「安心保障機能」の地域への開放・社会化の実践.病院75:134-140,2016
9)松田晋哉:医療法人博仁会志村大宮病院 地域リハビリテーションのネットワーク構築を通したまちづくりへの積極的参画と地域共生型CCRCの提案.病院75:211-218,2016
10)松田晋哉:医療法人和香会倉敷スイートホスピタル—ホスピタリティ経営の実践.病院75:368-373,2016
11)松田晋哉:社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院 施設品質から地域品質へ—変化の先頭に立つ経営.病院75:536-543,2016
12)松田晋哉:医療法人社団豊生会 東苗穂病院 高齢化が進む都市部での地域包括ケアシステムの構築—病院を中核とした日本型Medical neighborhoodの実践.病院79:458-464,2020
13)田中道昭:アマゾンが描く2022年の世界.PHP研究所,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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