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特集 新・ケアミックスが病院を変える—超高齢社会の患者ニーズの複合化への対応 新・ケアミックス化の潮流
過疎地域におけるケアミックス戦略
著者: 加藤節司1
所属機関: 1社会医療法人仁寿会加藤病院
ページ範囲:P.878 - P.882
文献購入ページに移動島根県邑智郡川本町は,社会医療法人本部の所在する全国の自治体のうち,最小人口の町である注1.島根県の地理的中心に位置し,かつて郡都として行政・経済の中核を担った町も,人口減少による生活利便性の低下などを通じてさらなる人口減少を招くという悪循環に陥ってきた.われわれが日常生活を送るために必要なサービスは,一定の人口規模の上に成り立ち,必要な人口規模はサービスの種類により異なるとされている.ある市町に一般病院が80%以上の確率で存立するには,27,500人以上の人口規模が必要(50%以上の確率で立地するためには5,500人以上の規模が必要)というデータがある(国土交通白書,2015より).川本町の人口は,現在3,177人(2021年6月30日)であり,立地に必要な規模を大きく割り込んでいる.
一方,われわれ社会医療法人は非営利性を徹底して担保しながら,医療の永続性を確保することを目的として制度化されている.それ故,住民の健康保持に寄与し続けるためには,ドラッカー1)の提唱する①自らの組織に特有の使命を機能させる,②働く人たちを活かす,③社会に害を与えない,マネジメントの実践が重要となる.
本稿では,過疎・中山間へき地という医療経営環境において社会医療法人仁寿会(以下,当法人)が選択し実行してきた戦略的マネジメントについて報告する.
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