連載 これからの病院経営の考え方・5
コロナ禍で考える病床稼働率と病床利用率
著者:
小松本悟1
所属機関:
1足利赤十字病院
ページ範囲:P.902 - P.906
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コロナ禍で患者受診控えなどによる外来患者数の減少が,多くの病院で喫緊の課題になっている.また病診連携においても,かかりつけ診療所を受診する患者が少なくなり,診療所から医療機関への紹介患者数は減少している.その結果,多くの病院は新入院患者数が減り,病床稼働率も低下しているのが現状である.そこで今回は,新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年4月〜2021年3月の足利赤十字病院(以下,当院)の病床稼働率などの経営指標を使って,病院経営のあり方について考えてみたい.また,コロナ禍の中であっても,われわれは今までの地域連携にとどまらず,ポストコロナを見据えた新規入院患者獲得に動かなくてはならない.今回は,病床稼働率,病床利用率と病床回転率について概説したい.
一般的な病院経営のセミナーなどにおいては,病床稼働率と病床利用率を厳密に区別しておらず,同様な意味合いで扱われていることが多いように見受けられる.そこで今回は,それら二つの経営指標の算出方法を示し,その質的内容を明らかにしたい.院長ないし病院管理者は,これら二つの指標を明確に区別して病院経営に当たるべきである.