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文献概要
特集 病院とお金の深い関係 病院から出ていくお金の最小化
病院経営にとっての適正な納税
著者: 青木惠一1
所属機関: 1
ページ範囲:P.980 - P.984
文献購入ページに移動■はじめに
利益が数千万円出ている医療法人が決算対策で1000万円の大規模修繕を行い,これを修繕費として一括経費計上したとする.法人税率を30%と仮定すれば,300万円(1000万円×30%)の「節税」になる.しかし,1000万円は法人からキャッシュアウト(資金流出)しており,積み上がるはずの内部留保は700万円減少している(修繕を行わない場合300万円の税金を払うので,1000万円-300万円が内部留保となる).視点を変えると,この大規模修繕は30%分を税金が負担してくれた工事といえる.本当に必要な修繕であれば3割引きで意味があるが,「節税」目的が主であるなら,それをやめて70%の内部留保を確保する方が法人の体力は増す.「税金」を望んで払いたい者はいないが,「節税」という言葉に惑わされて無駄な支出をし,内部留保を毀損させることのないよう「納税と内部留保」の関係を正しく理解しておく必要がある.
利益が数千万円出ている医療法人が決算対策で1000万円の大規模修繕を行い,これを修繕費として一括経費計上したとする.法人税率を30%と仮定すれば,300万円(1000万円×30%)の「節税」になる.しかし,1000万円は法人からキャッシュアウト(資金流出)しており,積み上がるはずの内部留保は700万円減少している(修繕を行わない場合300万円の税金を払うので,1000万円-300万円が内部留保となる).視点を変えると,この大規模修繕は30%分を税金が負担してくれた工事といえる.本当に必要な修繕であれば3割引きで意味があるが,「節税」目的が主であるなら,それをやめて70%の内部留保を確保する方が法人の体力は増す.「税金」を望んで払いたい者はいないが,「節税」という言葉に惑わされて無駄な支出をし,内部留保を毀損させることのないよう「納税と内部留保」の関係を正しく理解しておく必要がある.
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