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特集 病院とお金の深い関係 病院から出ていくお金の最小化
医療法人の経営に資する会計監査の受け方
著者: 石尾肇12
所属機関: 1監査法人MMPGエーマック 2石尾公認会計士事務所
ページ範囲:P.985 - P.988
文献購入ページに移動2015(平成27)年9月に成立した「医療法の一部を改正する法律」(平成27年法律第74号)により,2017(平成29)年4月2日以降に開始される会計年度から,一定規模以上の医療法人に対し公認会計士監査が義務付けられた.
わが国の医療・介護に係る社会保障関係支出は年々増加しており,2020年の社会保障費のうち医療・介護に関連するものの総額は53兆円規模となり,年金の規模に匹敵する状況になってきている.今後も増加傾向は続き2040年頃がピークになると予想されている.このように社会保障に関する領域は,少子高齢化が進む中,今後ますます重要な役割を占めてくるものと思われる.社会保険制度などを通じて税金が投入される極めて重要な医療・介護分野を担う医療機関のうち,その中心となる民間医療組織としての医療法人は,自立経営力の向上,資金調達の多様化,経営の効率化などの多くの期待が寄せられているといえる.これらの期待に応えるためには,事業活動の状況や財務会計に関する説明責任を適切に果たしていくことが重要であるといえ,会計監査の導入は,これを担保するものとして社会的影響が強いと考えられる一定規模以上の法人に対し,経営の透明性を高めることを目的としたものと考えられる.
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