icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院80巻11号

2021年11月発行

文献概要

特別記事

救急救命士法改正により期待される病院救急救命士の動向

著者: 鈴木哲司12

所属機関: 1一般社団法人日本救急救命士協会 2鈴鹿医療科学大学保健衛生学部救急救命学科設置準備室

ページ範囲:P.990 - P.994

文献購入ページに移動
■救急救命士が活動する“場”の拡大
病院前救急医療体制の充実を図る救急救命士制度
 救急救命士制度は,1991(平成3)年に病院前救急医療体制のさらなる充実を図り,わが国の救命率の向上を目指すことを目的として整備された制度である.制度発足以前は,救急用自動車の中での救急隊員による医療行為が禁じられていたため,傷病者の搬送を主体とした業務であり,助かるはずの命が失われていたという悲しい歴史があった.それらをいち早く解消するために公的養成機関,専門学校,短大,大学において救急救命士の養成が行われ,量的充実が図られてきた.
 改正前の救急救命士法第44条第2項によって「救急救命士は,救急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって厚生労働省令で定めるもの(「救急用自動車等」という.)以外の場所においてその業務を行ってはならない.ただし,病院又は診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合は,この限りではない.」と救急救命士が業務の行う場所の厳格な規定と制約がなされ,今日まで救急救命士の活躍する場は,消防機関が主たる職域であった.

参考文献

1)厚生労働省:医師の働き方改革に関する検討会報告書.(平成31年3月28日)
2)経済財政運営と改革の基本方針2019〜「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦〜.(令和元年6月21日時閣議決定)
3)厚生労働省医政局長:良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について(救急救命士法関係).医政発 0901第15号(令和3年9月1日)
4)救急救命士標準テキスト編集員会:救急救命士標準テキスト,第10版.pp250-251,へるす出版,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?